第55話 何か良いことあった?

 ふわぁ。


 大きなあくびをして伸びをする。


 ちょっと眠そうなレイア。


 結局夜中に起きたレイアと一晩中おはなししてて。気がついたら朝だったのだ。


 眠いはずだよね?



 とりあえず学校行く用意して馬車に乗るレイア。マギア・キャッツアイはレイアが装着してる。まあマナの供給はあたしに任せてって言ってあるし大丈夫かな。


 別に見た目は変わるわけじゃないしね。キャッツアイは完全にレイアの左目に同化してる。

 よく見ればその瞳の色が金緑なのもわかるかもだけど、注意しないとわからないレベル。



 あたしも実はちょっとドキドキしてる。


 今日は初めての魔法の授業だって言ってたし、ちょっと興味があるんだ。


 あたし、学校通えなかったしさぁ。



 大門を潜り学園内に入る。ここで馬車は降りて校舎まで歩くんだけど、今日もやっぱりここでコーラス達と合流した。


「おはよー」


「おはようレイア。なんだか今日は一段とかわいいね。表情が明るい」


「あは。そう?」


「なんだかレイアさん、トゲがなくなりましたね?」


「え?」


「ああ、僕たちの前ではそうでもなかったけどね。いっつも不満があるよって感じで怒ってたかな? 最近ずっと」


「そう、だったかな……?」


「今朝の笑顔はすっごく可愛いですよ? 私の次に、ですけど」


「あは。もう、コルネリアったら」


「そうそうその笑顔。っていうか何か良いことあった?」


 コーラスがそうのぞき込むようにして言う。


 ちょっと、近いよ?


「うん。すっごく嬉しいことが、あったんだぁ」


「そっか。それは良かった」


 にっこり笑うその笑顔はほんとイケメンで。女の子にしておくのは惜しいって感じ?


 双子コーデのコーラスとコルネリア。


 この二人、ほんと中身が逆だったら良かったのにね?




 まあ、それ以上深く追求しないところがコーラスの良いところで。


 レイアもそれ以上深くは話さなかった。


 でも。


 きっとこの二人はそんな言葉よりももっと深いところで信頼しあってる、そんな気がした。




 ホームルームが終わり、最初の授業は校庭で行われることになった。


 校庭に集まって。その中心に先生。


 ちょっとざわついているのをパンと手を叩きおさめる。


「えー。ワタシが今年あなたたちの魔法授業を受け持つレイチェル・ローランドです。優秀な生徒ばかりと聞いてます。よろしく!」


 一見綺麗な美人の先生。でも。




 なんでレイチェル?


 なんでレイチェルがここにいるのよ!

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