第3話 それってなんて嬉しいの。
よちよちちょこちょこ歩けるようになった。
あたしときょうだい達はおかあさんのもふもふから離れそこらじゅうをよちよち移動して。
ときどき、もう! そんなに離れちゃダメ! にゃーお!
って、おかあさんに捕まれ寝床に戻される。
あったかいフカフカの寝床。
ふんわりと花の匂いがするけれどここは屋根のある何処かのお屋敷。
広いお部屋の一角にしつらえられたあったかい寝床。
ああ。おかあさんもしあわせなのだ。そう思ったら嬉しくなった。
1回目の人生で、猫といえばお外で子猫を産む様子を何度も見かけ、ああ、この子達がなんとかしあわせに暮らせたらいいなぁとボランティアのねこカフェに足を運び。保護された子猫。さくら猫となって地域でお世話される猫。そんな猫をいっぱい見てきた。
自分で猫を買うには当時の一人暮らしのアパートじゃ無理で。
結婚したら猫を飼うんだ。
それが夢だったっけ。
で。
まさかこうやって飼い猫に生まれるとは思っても見なかったよ。
飼い主さんはサンジェルマン侯爵夫妻。
うん。前世の親戚筋で奥方の方は従姉妹になるはず。
あんまり交流はなかったけど顔はなんとか覚えてた。年齢はたぶん十歳くらい老けたっぽく見えるけど。
ああ、でも、これでハッキリした。
この世界は前世の続き。
あたしはアシュレイ王国にもう一回転生したのだと。
ねこだけどね?
「ミーシャ、かわいいね、あなた、ミーシャよ」
そう舌足らずな声であたしを呼んで。ちょっと身を乗り出してこちらをのぞき込むのはレイア。サンジェルマン夫妻の末の娘、らしい。
まだ七歳。
ふわふわの金髪、碧い瞳。ほんとお人形のように可愛らしいレイア。
かわいいのはこの子の方だよね。
あたしは差し出された指をちろっと舐めて。
みゃぁ
って鳴いた。
きゃぁって可愛い声が漏れ。レイアの顔が笑顔になった。
うん。こんなしあわせ。このまままったりしあわせに過ごせたら。それってなんて嬉しいの。
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