キレイな心で
奈良ひかる
第1話
洋はとても心のキレイな奴だった。
ただその外見が少し人よりも強面な所はあるけど
それはガタイが他人よりも良く、目つきが悪いってだけで
本人にはどしようもない事だった。
そのせいで、何もしていなくてもトラブルに巻き込まれやすい性質はあるけれど
洋は決して自分から人を傷つけることはしない、それが洋の中でのルールだった。
洋は信じていたんだ
正義ってやつを
だからあんなことになるなんて今でも信じられないでいる
その日はとても寒い日だった。
どうやら寒波が来ているらしく、多少の防寒では役には立たない程だ。
洋は缶コーヒーで振るえる手を温めていた。
「ははは。雪、降ってきやがった」
先輩の木崎が夜空を見上げている。
洋も同じように空を見上げた。
どんよりとした夜空を。
「よし、じゃあ次行くか」
そう言って歩きだした木崎の後を洋は付いていく。
雪が降るコンクリートの上をのっそ、のっそと。
滑って転けないようにとその事だけを考えて歩く
耳が痛く吐く息が白い。
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