占いの街 一話完結

その街は砂漠の真ん中にあった


超高層のビル群と屋台やバラック、テスラの電気自動車が走る大通りの少しいりくんだ所を牛が荷馬車を引いて歩いているような都市だった


旧市街地では、老人が地べたに座り込んで亀の甲羅を焼きそれを金槌で割っていた


亀の甲羅の割り方により、その人の運命を占うのだ


老人の元には、高層ビル群のあるシティ地区からITや金融で儲けたような若い世代の金持ち達がひっきりなしに訪れ助言を仰いだ


老人はその度にコーヒーのミルクの溶け方や爪の白い部分の変形具合などで占ったが若い金持ち達は納得せず、金に糸目を付けず亀の甲羅で占って欲しいとせがんだ


老人は亀が可愛そうなので予め陶器で作った亀の甲羅を用意し、それで占った


甲羅は焼かれている為若い金持ち達には本物と偽物の区別のつきようもなく、そもそも占い自体がデタラメだった


老人は自分の不毛な占いで、若者達が大金を動かしていると思うと占って欲しいのは自分の方だと思った


それでも、老人はせがまれるままに占った

デタラメな占いで


世界は廻る

今日も廻る

デタラメに、止めどもなく


私もあなたも、止めどもなく




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