影の男
男は疲れていた。
深夜まで続く残業が何週間も続いていた。
仕事ばかりする男は家庭を顧みず妻や子供には愛想を尽かされていた。
慢性的な寝不足で実を言うと精神も少しおかしくなっていた。
男の唯一の楽しみは昼休みにコンビニに弁当を買いに行く事だった。
毎日通うコンビニの若い東南アジアの女の子の店員の笑顔が素敵だとかそのような事ではなく(そのような人物は男の通うコンビニには存在しない)
昼休みのその一瞬が唯一男が昼間の太陽を浴びる事ができる為だ。
男は公園で買った弁当を食べていた。
その時、誰かが男に話しかけた。
オィッ、聞こえてるか?
男よ?
男はギョッとした。
誰だと思った。
そんなに驚くなよ俺は影だよ。
アンタの影だ。
二話に続く
シスコ村 短編集 シスコ村 @ciscom
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