夏のバス  一話完結

マジか。。アイツ金を払わずに逃げたぞ。。


まさかの、無銭飲食か。。


昭和じゃないんだから。。

余程、腹が減っていたんだろうな。

かわいそうに。


一言いってくれれば飯ぐらい奢ってやったのに。

言えなかったんだなぁ。



あぁ、俺もそうだった。



その時、私に古い古い記憶が蘇った。



確かに若い時、私も金がなかった。


今思い出したが、昔バスの運賃が払えず謝りながら逃げた事があった。


たかだか数百円だから、運転手は声もあげず運行時間の都合からか何事もなかったようにバスは走り去ったが、あの時私は確かにバスの料金を踏み倒した。



あれから25年が経ったのか。



自分は余り変わった気がしないのだが、数百円ぶんくらいは成長したかなと思いながら逃げた男の分と自分の分を合わせて支払いを済ませた。





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