ヴァーチャルインサニティ  一話完結

男は冷房のスイッチをonにした。


湿度は27度、規定通りの模範的な温度。


就業時間35分前。


毎日必ず就業時間の35分前に席に着く。

早過ぎず、遅過ぎず。


自宅でも冷房の温度は27度に保っている。


なるべく会社に居る時に近い環境に設定して


違和感やストレスを感じたくない。



5分後、就業時間30分前。


ラクダが姿を現す。


ラクダは毎日必ず就業時間の30分前に席に着く。


冷房の温度を24度に設定し直してから。


ソレが私を苛立たせる。


私の思惑が水泡に帰す。


私は勿論、何も言えない。



ただ、ただ苛立つだけだ。



私とラクダは軽く挨拶をして、すぐにモニターに向き合う。





何も言えない、息も出来ない


これ以上は何にもなれない


ヴァーチャルインサニティ、仮想の狂気


ヴァーチャルインサニティ、仮想の狂気

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