第13話 マナの力

小さな妖精さんになった彼女がそこにいた。


「なんでちっちゃくなってるの!?」


「え・・・、あぁそっか・・・。ナビシステムが動いちゃったから本来のサイズになってしまったのね・・・。今頃他の参加者も私くらいのサイズのナビに教えてもらって身体強化を学んでるところね・・・」


えええええ!なにその上げて落とすスタイル!


「小さい姿も堪らないけども・・・。

・・・大きくなれないの?あの温もりをオレに!!あの感触をオレにかえしてぇぇぇ!!」


「そんなに大事なことなのそれ!?(そっか・・・もうしてもらえないのか・・・)大きくなる方法はあるけど私マナをまだうまく使えないし・・・、なんかごめんね・・・」


彼女がマナをうまく使えるようになれば大きくなれるのか。じゃあ・・・それまでお預け・・・。いやそれは・・・なにかないのか・・・。集中しろ・・・オレ!考えるんだ!!


「マナの力があれば大きくなれるっていうことだよね!?」


「えぇ・・・。マナの力を私が使えれば・・・」


彼女はどこか寂しそうな表情をしていた。そんな顔をさせてたまるものか!やってみるしかない・・・。


「ちょっと待ってて。マナを操作して美貴ちゃんに干渉してみる」


マナを感じるんだ。マナちゃんはオレの友達だ。そうだろマナちゃん。これを彼女に流し込んで、あの感触、匂い、見た目を再現する・・・。そしてイメージを固定する・・・。


「そ、それは無理があるでしょ?(そこまでしてくれるのは嬉しいけど)


え・・・う、うそでしょ・・・。大きくなってる」


[ワールドニュース。ナビに対してのマナ干渉に成功した者が現れました。これより情報を開示します。

ナビのサイズ、容姿を変更できる。

条件はナビの好感度一定以上、変更に伴うマナの行使。

皆様も自分好みのナビを作ってみましょう]


「できたああああああ!!!!」


あまりの喜びにオレは再び彼女を抱きしめた。これこれーー!この感触、この匂い!!


「うーー、外なのに・・・。恥ずかしいよぉ(また抱きしめられちゃった・・・。すりすりにくんくんされてる・・・もっとしてもいいよ・・・)。どうやったの・・・?」


「匂いと感触と見た目を再現しただけだよ?

美貴ちゃんの身体中の匂いは細部まで嗅いで覚えてるし、感触も体内以外はほとんど触れ合ってるからね。可愛い容姿は3Dで脳内に保存済だったし。よかったよかった」


「・・・(細部までって言った?今・・・。お嫁にいけない・・・もうお嫁にいけない・・・。足も絡めてきてたし、確かに触れられてない場所はないけど再現できるものなの?)・・・恥ずかしすぎるんだけど・・・なんでそんなとこまで匂い嗅いでるのよ!?」


恥ずかしがり屋の美貴ちゃん、一段といいですね。とぉってもいいもんですねぇ。


「全身いい匂いなんだからしょうがないんじゃね?ノーライフノーミキだからね。


さぁ美貴ちゃんいこ?誰もいないから手繋いでもいいでしょ?それに姿だってオレ以外にはアバターに見えるんでしょ?」


「なんでさりげなくそんなこと言ってくるのぉぉぉ(ずるい・・・あんまり言われちゃうと好きになっちゃうよ・・・。お嫁にいけないんだからやっぱりもらってもらおう)。

わかったわ・・・行きましょ。確かに、周りにはアバターで見えてるはずね・・・。

それから美貴って呼び捨てにしてよね。ナビにちゃん付けっておかしいでしょ?ハイロリ」


今のところか・・・。隠蔽スキル鍛えて彼女にも隠蔽かけれるようにしよ。彼女の姿はオレだけのものだ。他人に見せるなんてとんでもない。


「それもそうだねぇ。美貴、2人きりの時は慶太でいいよ。人いても慶太でいいけどね」


「とりあえず2人きりの時だけならいいわよ。人いる時は考えておくね(よ、呼びたいけど、人前は恥ずかしい・・・)。

慶太、どこ行きたい?」


美貴との初デートに行くのであった。手つなぐとドキドキするよね。



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