ボク姫様と折々日和

リラルートafter① 7月8日:リラの誕生日

 💻~♪


「もしもしリラぽん? 深夜に何の用です? あと誕生日おめ」


「おめありー……ちょっと誕プレ代わりに相談に乗ってよー」


「どうせまたミナちんとのノロケ話でしょ? 聞く気皆無なんですが」


「ち、違わい! ほら、ミナトくんがアタシと付き合い始めて、半年が経ったじゃん?」

「でも恋人として登るべき階段を全然登れてない気がしてさ……どうすればもっと距離を縮められるか悩んでんのよ」


「そうですかーあははは」

「あ、ところでポキモンのDLCはもう入れました? 個人的にはバレル解禁が熱いですな、害悪パを考えねば……」


「流さないで聞いてってばぁ! アタシは本気で悩んでんのぉ!」


「……はいはい、仕方ありませんねぇ」

「今日は誕生日なんですし、デートに誘えばいいじゃないですか。誕生日にかこつけて、距離を縮めるんです」


「いや、それは、その……じ、自分から誘うとか祝うの強制してるみたいだし」

「面倒くさい女って思われたらヤだし……」


「え? もう十分に面倒くさい女なんですが? 無自覚? もしやサイコパス?」


「誰がサイコパスじゃい! アキラが相手なら気負わないっつーの!」

「でもミナトくん相手だとまだ気負っちゃうんだって! ほら……アタシら色々あったしさ」

「ようやくマリカ義姉(ねえ)さんも目覚めたし……そろそろ関係を進展させなきゃ、って思うワケよ」


「まったく……その気持ちを素直に言えばいいだけじゃないですか」

「あなたたちは馴れ初めがドラマチックだったせいで、変に取り繕いすぎなんです」

「取り繕った関係は長続きしませんよ。長い付き合いになるんですから、面倒くさい部分も晒け出しましょうよ」


「でも、それで嫌われたら……?」

「アタシさ、もう半年も経つのに、全然ミナトくんと会うのに慣れないの」

「今でも会うたびにドキドキするし、好きな気持ちは膨らむばっかりで……嫌われることがどんどん怖くなるんだよ」


「結局ノロケてるじゃないですか…! この雑草!」


「の、ノロケてないって! 本気の悩み! てかアタシの十八番(オハコ)とらないで!」


「あなた、面倒くさい女ってだけでミナちんに嫌われると思ってるんです? 世界一面倒くさい従妹と同居してる男ですよ?」


「ミナトくんなら受けれてくれるって信じてるけどさ……万が一の可能性があるじゃん」

「……不安なんだよ。もし一緒にいられなくなったら、ツラすぎて耐えらんない」


「ちゃんと言えたじゃねぇですか。そりゃツレェでしょ?」

「安心してください。ミナちんは絶対に嫌いませんよ」


「何たって、今私の隣で、本人がそう言ってますからね♪」


「……はい?」


「盗み聞きしてごめんね。アキラがリラさんからの着信だって言うから、おめでとうって言いたくて」


「最初から最後まで、スピーカー機能でミナちんに丸聞こえだったってワケですなぁ」


「え……? アレ、全部? ミナトくんに!?」

「あ、アキラ……! アンタ……! こんにゃろぉぉぉぉぉお……!!!」


「ポキモンも恋愛相談も害悪戦法に徹する。それが私の誇りです」


「リラさん」


「はい何でしょう!!!」


「リラさんの悩みに気付けなくてごめんね。本音を聞けて、ちょっぴり恥ずかしいけど、それ以上に嬉しいよ」

「やっぱり、好きな子にはカッコいいって思われたいから……ボクもリラさんの前だと、変に取り繕っていた気がする」

「もうこれからは取り繕ったりせずに、ストレートに本音をぶつけるね」

「今日学校が終わったら、二人で遊びに行こう。大好きなリラさんが生まれた日を、ちゃんとお祝いしたいんだ」


「う、うん……アタシも、ミナトくんと一緒に過ごしたい……」


「誕生日おめでとう、リラさん。これからも、ずっと大好きでいるよ」


「……ありがとう。アタシも大好きだよ、ミナトくん」


 …


「うひひ……計画通り! 二人の超恥ずかしいデレデレ会話、録音してやりましたよ」


「私にノロケを見せつけた対価は……この会話を結婚式で流して辱しめることで払ってもらいますからねぇ」

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