兄さん‼️これでチェックメイトです‼️〜ブラコン妹はお兄ちゃんを攻略します‼️〜

葉月治

兄さんチェックメイトですよ‼️

第1話兄妹


 兄妹


それは、ある人はそれはただの家族構成だと言う。

 またある人が言うには、それは、萌えの原点だと。

 またある人が言うには、成長するにつれて、疎遠になって行く、寂しい関係だと。

 この言葉を聞いて、どんな関係を想像するかは、人それぞれだろう。

 そしてそれは、現実的に考えるのであるならば、兄妹での恋愛という物は、創作の中でしかありえないものなのかもしれない。

 ましてや、ブラコンなどという物は、現実には存在しないのかもしれない。

 ブラコンは恥ずかしい。思春期の妹はそう思うのが普通なのかもしれない。

 だが、もし、ブラコンの妹がいて、そこに大義名分があるとするならば......




 ★☆




 夕食の席に、カレーのスパイシーな香りが立ちのぼる食卓。

 兄と向かい合わせの席で、妹こと、源姫織みなもとひめりは必死に頭脳を回転させていた。

 兄こと、源龍彦みなもとりゅうげんをどうドギマギさせようかと!!

 姫織は、兄の顔を盗み見ながら、頭の中では、必死にシミュレーションを繰り返していた。


 <<脳内シミュレーション>>


『ふふ、兄さんったら、お口にカレーがついてますよ。私が取ってあげます。』

『い、いや、大丈夫だ』

『そんなこと言わずに、ほら♡』


 そういって、私は、兄さんの口元に手を伸ばす。

 兄さんは、顔を真っ赤にし、私のされるがままに........


 <<完了>>


「これですよ、これ!!いいですよ!!これなら、兄さんのドギマギする姿が目に浮かぶように分かります!!」


 姫織は、自分のシミュレーションの完璧さに、自分で自分をほめたたえる。

 姫織は心の中でこう思う。「今日こそは、あの名前と比べて、パッとしない兄をドギマギさせようと計画したシミュレーションを成功させて見せる!!」と。


『兄さんこれでチェックメイトですね』


 後はこれを実行するだけ。姫織は呼吸を整えるために、一旦席を立とうと、椅子を引き、


「あっ!!」


 姫織、ここで机の上に置いていた、コップをうっかり倒ししてしまう。

 突然の事態に大きく戸惑う。

 深呼吸前だったのもプラスされ、足をバタバタさせ大きく心を乱してしまった。

 この緊急事態に姫織の思考もこんがらがってしまった。


「ど、どうしましょお!!まずは床を拭いて、それから、えっと!!」


 大慌ての姫織。もはや、シミレーションを行うどころではない。

 そこに救いの手を差し伸べたのは!!


「ほら、タオル。全く世話を焼かせやがって....」


 兄である。

 妹がコップを倒し、慌てているすきに、タオルを取りに行っていた龍彦。


 姫織、この行動にドギマギしてしまったようだ。

 加えて、とどめのこの一言!!


「まあ、お前があんまし、濡れてないみたいでよかったよ」


 このさりげない一言で、姫織は完全に心を奪われてしまい.....


『兄さん!!大好き!!』

 

姫織、完敗である。

 あとには、目をキラキラさせた姫織が、龍彦を見つめている姿しか残っていなかった。




 ★☆




 これは、ブラコンチョロインこと、源姫織みなもとひめりが、兄をドギマギさせようと、必死に脳内シミュレーションを駆使して戦う、そんな、日常の一コマのお話である。






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