松下先生 俺やってみるよ!
大魔神 閃光
第1話 松下先生と綾姉
俺は、島田修平。小学6年生。外で体を使って遊ぶ、特にサッカーが大好きな男の子だ。だから、国語や算数はあまり得意じゃないけど、体育は少しできるし大好きな教科だった。そんな俺が松下先生と過ごした1年間を振り返ったお話がこれだ。たった1年だけど、何か俺、変わった気がする。
松下先生は、最初の担任の挨拶で、「松下久美子です。勉強に運動に、自分の可能性に挑戦していきましょう。他の人の挑戦を応援できる人になりましょう。私も頑張ります。みんなでこのクラスを素晴らしい学級にしましょう。」と言った。語尾が強く、圧迫されるように感じた。同時に、何か息苦しい感じがした。、俺は、小学校生活は、のんびり面白くやっていければいいなあと思ってでたから、ちょっと大変かもと思った。
最初の授業は、授業像づくりだった。授業像とは、自分たちの目指す授業を言葉にして、そこへ向かってみんなで頑張るための合言葉だ。「みんなで発表、みんなで解決、楽しい授業」となった。‘分からないことや困ったことも発表できる雰囲気をつくり、それをみんなで解決していく授業にしよう。いろいろなことが出来るようになってみんな楽しくなる’といった意味だった。今までも授業像づくりをやってきたが、今年はシンプルに短い言葉となった。やっぱり、6年生になると変わるのかなと思った。でも、明日から、いよいよ教科の授業か。椅子に縛られた、退屈な時間が始まるのかと暗くなった。
サッカーの練習が終わり、家に帰ると地元の中学校に進学した中三の姉貴、綾子がいた。人の顔を見るなり、「修、お前の担任は誰になった?」と聞いてきた。「姉ちゃんが5・6年の時の担任だった、松下先生だよ。」と応えると、「やったねえ。真剣に頑張んな。あなたの人生変わるよ。」と言う。「どうしてだよ。自分の担任の時は、あんなに文句言っていたくせに。」と返すと、伏目がちに「私、今年中三でしょ。中二の後半から三者面談とかやっていると、自分の可能性ってどこにあるんだろうと考えちゃうんだよ。考え込んでいると、5・6年の時の出来事に戻るんだ。そして、松下先生の「綾子ちゃん、伸びてきたねえ」という言葉で安心するんだ。ただ、あのころもっと頑張れたはず。もっと頑張っておけば、今、もっと自信が持てたはず。あの頃先生が言っていた、「頑張った分だけ成長するよ」という言葉が思い出されるんだ。あの先生は、頑張った分は必ず認めてくれた。修、姉ちゃんは、文句を言ってさぼって、今になって悔やんでいる。そうならないで。松下先生を信じて思いっきりやってごらん。きっといいことあるよ。」話しながら目線が上がり、最後は遠くを見つめる目で俺に言った。
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