16頁

今となっては 遠い記憶

囚われの身となって

手繰たぐりり寄せる頼りもなく

少女たちの群れに引き戻されて


何本にも伸びた白い腕は 少女を絡め捕り

その上に 幾重にも身体が覆いかぶさった

互いが互いをかばうように

そして 自分をかばうように


そんな様子を男たちは横目で眺め

ある者は馬具や檻の修理をしたり

ある者は釣りをしたり

野兎を捕ってきたものもいた


重かった雲も いつの間にか薄くなり

日差しさえも零れてきたというのに

折角の太陽は傾きかけ 沈もうとしていた

そんな頃 漸く 男たちが戻ってきた


馬から少女が3人 降ろされた

ぐったりとして まるで荷物かのよう

すかさず 少女たちの中に放り込まれた

どの子も 少女より年上だった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る