014 少年と少女
眩しい光が治まった時、その場には、裸の少年と少女が立っていた。
少年と少女のそれぞれの手には、木彫りの人形が一つづつ握られていた。
我に返ったジェシカとエゼクの行動は早かった。
ジェシカはというと、裸の少年の大事な部分が見えないように抱きついてその身を隠していた。
エゼクは、着ていた服を脱いで裸の少女に着せていた。
ジェシカは、そんなエゼクを恨みがましそうに見て言った。
「教官、そのシャツを渡してください。本当は私の服を脱いでローグちゃんに着せたいところですが、そうすると私が裸になってしまいます。別にそれでもいいのですが、教官にいやらしい目で―――」
ジェシカがそこまで言うと、エゼクは着ていたシャツを乱暴に脱ぎ捨てて、ジェシカの顔面に向かって叩きつけながら言った。
「ド阿呆が!!貴様の裸など興味などないし、さらに言うと、貴様が肉の塊になった時に見てる!!」
そう言われたジェシカは、唇を尖らせつつも投げつけられたシャツを少年に着せながら言った。
「教官って、ほんと失礼しちゃいます。ねえ、ローグちゃんもそう思うでしょう?」
ジェシカは、困惑する少年にそう言って微笑みかけていた。
そんな二人に、少年と少女は同時に言っていた。
「なんで、俺だって分かったんだよ!!」
「どうして、私だって分かったんですか?」
そう言われた二人は、今さらながらだったが、驚きの声を上げていた。
「えっ?ローグちゃんが二人?」
「はっ?リアムが二人……、だと?」
そう言って、お互いの腕の中にいるローグトリアムを交互に見ていた。
「ローグちゃんが二人……?でも、私のローグちゃんは、今私の腕の中にいる君ね?」
「お、俺は別にお前のもんじゃないから……、でも。ありがとな」
「リアム……、前と姿が違うが分かる。君がリアムだと」
「はい。私がリアムです……。私に気が付いてくれてありがとうございます……」
そう言って、二組の男女は公園の片隅で抱き合っていたのだ。
そして、完全に日が沈んだ頃、二人のローグトリアムは言ったのだ。
「俺とリアムのこと、聞いて欲しい」
「私とローグのこと聞いて欲しいです……」
同時にそう言った二人に、ジェシカとエゼクは頷いていた。
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