試験を終えて 2

そういえばミッシェルのその後、どうなったかだけど・・・

試験会場で、魔人のクローラルとの話が終わった後、気絶している間にミッシェルの腕をクローラルが法術でいとも簡単にくっつけて治してしまった。

ただ見ていたけど、結構グロかった。出来ればもう見たくはないな。

切り口同士がこう、ウネウネと筋肉や血管が動き出し、繋がっていく様は見ていて気持ちいいもんじゃ無かった。

悪魔なんかへっちゃらって、感じだったカーリーが、物凄く怖がって僕に抱き着いて来たからね。

え? 本当だよ? 別に抱き着きたいだけ、って訳じゃない・・・はず・・だよね?

まあ、それは置いといて、王宮からも増援部隊が駆けつけて来たけど、その時には悪魔はいないので、執拗に質問されました。

なんとか、ヴェルデが上手く話しを作ってくれてその場は納まったのだけど、ミッシェル君については、悪魔が封印されているクリスタルを持っていたので、一級危険対象として王宮騎士団に連れて行かれ調査されることになった。

で、悪魔、実は魔人族なんだけど、彼の攻撃を僕達がなんとか凌いで、不利と悟った悪魔が逃げたという事にした。

まさか目の前にいる美しい女性が実は悪魔だったとは誰も考えもしないだろう。

その辺りの事は、僕達だけの秘密として、王国には話さない事にしている。

国王が自分達にとって敵である可能性が否定できないからだ。

とにかく今は、僕達の事や魔人族のクロの事も当分は伏せておくことにした。

で、試験の結果は、ヴェルデ曰く、僕とカーリーは問題なく合格だそうだ。

で、今こうしてクロを含めて皆で食事しようって事になったんだけど・・・


はあ~、聞かなきゃいけないんだろうな。


「二人いるの?」

「そうよ。」


平然と言い切るヴェルデにただニコニコするばかりのフラム。

カーリーは目を丸くして驚いていた。


「何故、分かるの?」


僕は、葡萄酒を金属製のグラスについでゆっくりと味を確かめる様に飲むヴェルデに質問をなげかけてみた。

すると、僕の顔をトロンとした瞳でじっと見て話し出してきた。

結構酔ってないか、ヴェルデ?


「良いい? タクミ、まず私の属性元素は木の属性一つなの。それでフラムが火の属性ね。」


『タクミ様、つむぎさんに、与えられた属性元素は五つの筈ですよ?』


エルが念話で指摘してきた。

確かにそう聞いていたよな。


「私達はクロちゃん達の作った時空魔道器の失敗作で体を消し飛ばされ魂も神格もそして属性元素もばらばらに分けられたらしいいと言う事よ。だから、私と、フラム、そしてカーリーの属性元素以外の後二つの元素を持っている女の子が居るはずなの。どういう理屈かは今のところ解らないけど、もしかしたら時空魔法って、神様達が魂の管理をして転生や誕生に関わることわりに類似する物があるのかも知れない・・けど・・・」


酔っているわりにハッキリとした口調で話すヴェルデ。

酒には結構強そうだな。


「でも、そうすると、カーリーはどうなんだ? 属性元素を三つも持っているよ?」

「それは多分、カーリーのお母さんかお父さんの持っている属性元素を引き継いでいるんじゃないかと思うの。どう?カーリー、お父さんとお母さんの属性元素って何か知ってる?」


そう問われてカーリーは即答する。


「えっと、お母さんが火と木の属性で、お父さんは火の属性だけかな?」

「で、カーリーの持ち元素は、土と火と木の3元素という事になってるから、火と木を両親から受け継いだと思うの」

「なるほどね。そうすると、ヴェルデとフラムの両親は魔法元素持って無かったの?」

「ううん、持ってたけど、私もフラムも両親が同じ元素だったんで変わらなかったの。」


つまり、カーリーは、かなりラッキーだったのか、それともヴェルデ達の運が悪過ぎたのかな?

苦労したんだろうね。


「つまり血のつながりを持てばその人の性質を受けとる事が出来る可能性があると私は思ってるんだけどね。」


「なんだ、確信じゃないのか?」

「今までの状況を考えたらそれが一番しっくりくるのよ。但し、普通の人ではそういう事例は見たこと無いから、私達みたいに神格とかがある特例的な存在に限られるのかもしれないわね。」


なるほど、まあ確かに僕もその説は納得しやすいかな。

でも、待てよ?

僕の光と闇以外に火と木と土の属性を持っていたのはどういう事だ?


「ヴェルデ、この間、冒険者組合で元素魔法のチェックされたんだけど、光と闇の元素以外に、カーリーと同じ火と木と土の3元素の反応があったんだよね。どういう事か解る?」

「今、何て言ったの? タクミ」

「え?だから、光と闇、以外に、3元素の属性の反応が有ったって言ったんだけど?」


あ、ヴェルデの顔がどんどん険しくなって来たんだけど、何かまずい事言ったかな?

あ、どんどん近づいて来る。

ああ、何か凄く怒ってるのかな?

顔が怖いよ、ヴェルデ。


「タクミ! まさかカーリーと、も。もうやってしまったの?!」

「「???」」

「やって、て何を?」


僕は初めヴェルデが何を言っているのか判らなかった。

でも、カーリーは僕の横で縮こまって顔を赤くしているし、それを見てヴェルデはさらに怒り出して泣きはじめてしまった。

何が何だか判らん。


「まさか、8才なのにもうカーリーと一線を超えてた何て・・・・」

涙目のまま、僕とカーリーを交互に見ながら淡々と話すヴェルデ。


ちょーと! 待てよ、おい!


「こら!まさか僕とカーリーがもう何をしたっていうのか?」

「だって!カーリーが顔を赤くしてるし、何よりも属性がタクミの属性が物語ってるわよ!」


待てよ、属性が?つまりさっきのヴェルデの話しで言うと、血の繋がり、つまり何らかの方法で血かそれに近い物が相手に入れば、相手の属性を引き継ぐ事が出来るという。

つまりそれは、僕がカーリーに何をして、何を入れたからって事か!


「いやいやいやいやいやや、それは無いって! 絶対に無いから! それに、一応僕は8才の子供何だよ! まだ出来ないって!!」


うわあ~、ヴェルデがじと目で見てるよ、こっちを。

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