初めての王都 4

「おかえりタクミ君」


出迎えの言葉をかけてくれたカーリーはベッドの上で・・・


「って! なんて格好をしているんだ!」


ベッドの上にシロと一緒にちょこんと座っているカーリーの服装がネグリジェというかベビードールというかそういった寝間着なのだが、その素材が薄過ぎる!しかもかなり、長けが短めなので色々と見えそうで目のやり場に困る。いやまてよ、よく考えたらカーリーは僕と同じ8才だぞ。まだ子供だぞ。

なんで意識しているのだ、僕は!? 前世も含めると70才を超えてるはずなんだが、精神が今のタクミの年齢に近くなっているのか?


「と、とにかく!カーリー何か他に着替えてくれないか?」

「えー!だってお母さんが寝るときはこの格好の方が女の子らしいって言ってたし、特にタクミ君が居るなら時は絶対に着なさいって」


何を教えてるんですか!ジェナおばさんは!


「そんなにおかしい?」


うっ、そんなうるうるした目で見ないでくれ! 僕には奥さんが待っているんだ! いくらカーリーが可愛いからって、意識しちゃいけないんだぞ!


『そんなに真面目に考えなくても良いじゃないですか?』


エルが復活して、カーリーには聞こえない様に僕にだけ念話を掛けてきた。


『な、何言ってるんだ。奥さんがいるのに他の女の子の事なんか意識したら、どちらにも失礼だろう?』

『大丈夫ですよ。この世界、強い元素魔法持ちの人は大抵、奥さんが複数人おられるのは、結構普通の事ですよ? その逆も有りますけどね』

『え? そうなの? 村ではそんな一夫多妻、一婦多夫なんて見たことなかったからてっきりって、おい!! そう言う問題じゃないだろう!?』

『え?じゃあどういう問題なんですか?』

『そ、そんなの、こう、何と言うか、一人のお嫁さんしか・・』

『強くて魅力のある男性に女が寄って来るのは、どの世界でも同じですよ』

『そんな事、言っても・・』


あー、エルと話している間もその格好のまま僕を見つめてるカーリーに意識が言ってまともに考えられないじゃないか!


「とにかく、カーリー何か他に着替えてくれないかな?」

「えー、寝る服こんなのしか無いよ?」

「!! じゃあせめてベッドに入って毛布を掛けてくれ! それでもう寝てしまおう。」

「うん、じゃあ一緒に寝ようか。」

「駄目! ベッドは2つあるんだから別で寝るの!」


その後もカーリーを説得するのに数分費やし、ようやく納得してもらったと思う、たぶん。とにかくカーリーとシロ、僕とエルでそれぞれ別のベッドで寝る事に決まった。


「タクミ君、おやすみ♪」


「ああ、おやすみ、カーリー」


あー長い1日だった。明日は、ジュードに冒険者ギルドに案内してもらって、大学に行くとしよう。

明日の事を考えていたらいつの間にか寝てしまっていた。

「おーい、タクミ! 朝だぞ! まだ、寝てんのか?!」

「・・・・・・・・・・ん?もう朝か?」


扉の向こうからジュードが大きな声を出しながら近づいて来ているようだ。


「検査魔導士の人が来てるから、早く終わらせて朝飯に行くぞ!」


扉の外で、大声で叫ぶジュード。そうか、こんな朝から来てもらってるのか。もう起きなきゃ。


ムニ、ムニ。


ん?なんだこの感触? 少し硬いけど程好く柔らかいものが? エルか? いや、毛深くないし、何だろう? そう思いつつムニムニ触りながら身体をベッドから起こす。毛布が開け、そこにいたのは夕べの寝間着のままで僕に胸を揉まれているカーリーが、んっ、とか言いながらスヤスヤ寝ていた。


「!!!!!!!」

「オーイ、タクミ、入るぞ、いいな」


「え?え、ちょっ、ちょっと待って!!」


バタン! 勢いよく扉が開かれ、ジュードが入って来る。ジュードと、僕の視線が合ってしまう。


「「・・・・・・・・・・・・」」


「やあ、お、お早うジュード」


周りが騒がしくなって、カーリーが毛布の中でゴソゴソし始めた。


「ん?、あ、おはようタクミ君。あれ?ジュードさん、来てたんだ。おはようございます」


寝ぼけた顔で目を擦りながら、ジュードの姿を見てあさの挨拶を普通にするカーリー。


「お、お前ら!やっぱりそんな関係にまでなってたのか!? 親御さんは承知の上なんだろうな!!」

「そんな事、あるわけないじゃないか!」


思いっきり否定すると、不思議そうにするカーリー。


「え?承知ならしてもらってるよ?」


な、何を言い出すんだこの子は!


「私のお母さんとタクミ君のお母さんなら認めてるよ? 後は、私のおとさんかな。でも、お父さんはお母さんに逆らえないから大丈夫だよ」


いつの間にそんな言質取ったんだ?


「そ、それならしょうがないか、うん。」


納得しないで、ジュードさん。あ、ラモナさんジュードさんの影に隠れて親指立てて、good!なんて、あ、カーリーまで親指立ててるぞ。ラモナさんも噛んでたのか?


「タクミ君、姉弟子の私からもカーリーの事宜しくね♪」


もしかして、ジュードをこんな朝早くから来させたの、ラモナさんの仕業じゃないだろうな。それで既成事実の証人にしようと企んで。ジーとラモナさんを見てると、テヘって言ってるような気がする。

やっぱり。カーリー、そんなにくっつかないで。


こうして既成事実を無理矢理作られて、カーリーと恋人認定されてしまった。奥さんゴメン!会ったらちゃんと説明するからね!

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