天才高校生(自称)の華麗なる領地運営記~偏差値40から始める異世界改革~

平成忍者

ミッション1 鬼人族の危機を救え!

第1話 自称天才、異世界に立つ


 日本一のアホ学校にして、日本一運動関係の成績が良い学園。

 それが獅子堂学園だ。

 俺こと千堂秀也は、この学園の3年A(アサルト)組の委員長をしている。

 エーではなくアサルトだ。

 この学校はネーミングセンスや授業内容が色々変わりすぎだろ。



 ちなみに満場一致で俺は委員長になったが、別に押し付けられたわけではない。

 このクラスを纏められるのは俺しかいないと、クラスのみんながそう認識しているからだ。



 俺は学園一の優等生なのだ。

 なにせ学校一の秀才で、なんと学内で唯一偏差値が40以上だからだ。

 俺は気怠い月曜の朝、クラスメイトを座らせ、朝一の授業を待っていたのだが……。



「秀也、なんか教官たち遅くねぇ?」



 隣の席の毒島が声をかけてくる。

 高3にして身長190を超える巨漢で、このクラス最強の男だ。

 二の腕までまくられたワイシャツの下には浅黒い肌が覗き、盛り上がった筋肉が学生服を盛り上げている。



「確かに遅いな……」



 時間にうるさい教官たちが遅刻するとは思えないし……。

 もしかしたらなにかトラブルでもあったのかもしれない。

 職員室に行こうとした瞬間、教室が眩い光に包まれる。

 あまりの眩しさに目を開けることすらできない。



「うおぅ!? なんだ!?」


「教官の抜き打ちテストか!?」


「か、体が動かねーぞ!?」



 慌てるクラスメイトを俺は一喝した。



「みんな落ち着け! 何が起きても授業で習ったことをすれば、どんなことでも切り抜けられる! 天才の俺がついてるんだ、何も怖くないさ!」



 その一言で、みんなの動揺が嘘のように収まる。

 何が起きてもすぐ動けるように気を張ったクラスメイトを確認した直後、俺たちの意識は闇に包まれた。



 ◇


「ここは……?」



 意識を取り戻した俺たちは、冷たい床から飛び上がり、周囲を確認する。

 すでに取り囲まれている。

 舌打ちしそうになる俺だったが、驚愕で息を忘れた。


 ――何だ!? この美人さんは!?



 周囲には和風の着物を着崩している女の人がたくさんいた。

 着崩しているおかげで、胸の谷間が丸見えで超うれしい。

 コスプレだろうか? 

 頭には鬼みたいな角が生えている。

 その中から2人の女性が進み出てきた。



 1人目は赤髪の美少女。

 背は低いが、胸は豊満で腰はくびれている。

 シミ一つない肌は、まるで雪のように美しい。


 2人目は銀髪で褐色の肌の美女。

 背も高く、妖艶な雰囲気のグラマラスなお姉さまだ。

 今まで見たことのない美女に思わず生唾を飲み込む。



「初めまして、異界の賢者たちよ。私は鬼族の頭領、シュリ」


「わたくしは頭領補佐のイバラと申します」



 赤髪ロリ巨乳がシュリで、妖艶なお姉さまがイバラか。

 しかしこれはあれか?

 流行りの異世界召喚とかいうやつか?

 あまりこういうのは見ないのだが……。

 とにかく情報が足りない。

 相手の出方を伺おう。

 するとシュリは言葉を続けた。



「異界の賢者たちよ、あなた方の助けが必要です。我ら鬼族の男たちは我ら女衆を救うため、敵と戦い全滅しました……。

 そして憎い怨敵はすぐそこまで迫っております!

 誠に勝手な話であると思いますが、どうか助太刀をお願いしたいのです」



 そういうとシュリを始めとした女の鬼たちは、その場で土下座をした。

 これにクラスメイト達は大慌てだ。

 なにせこの場にいる鬼族の女たちは、日本ではお目にかかれないほどの美人。

 こんなシチュで慌てない高校生が居たら見てみたい。



「う、うーん。男として困った女を見捨てることはできねーし……」


「なぁ、秀也。助けてもいいんじゃね?」


「毒島! まだ話を聞いてないのに……!?」



 クラスメイト達はろくに話も聞かぬまま、力を貸そうとしている。

 これは良くない流れだ。

 あの毒島ですら頬を赤く染めて、彼女らを助ける気になっている。

 どうやらみんな彼女たちの色香に骨抜きにされてしまったようだ。

 ここは俺がどうにかするしかない!

 その時だった。



「シューヤ様、というのですね? どうか我らに知恵をお貸しください!」


「シューヤ様……」



 シュリとイバラが俺の目の前までやってきて、深くお辞儀をする。

 他の鬼族と同様に、彼女らは着物を着崩した状態で着ている。

 巨乳美人がそんなことをすれば、大きな胸の谷間が丸見えとなってしまう。



 これがハニートラップとかいうやつか!

 胸の谷間から目が離せない。

 くそっ! ハニートラップなんぞに負けるモノか!

 素晴らしい絶景を前にして、俺の口や表情筋が勝手に動き出す。



「困ったときはお互い様です。喜んでお助けしますよ」



 異世界召喚初日、俺達は色仕掛けにあっさりと屈した。



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