垣根
勝利だギューちゃん
第1話
「みんな元気?今日は私のために集まってくれて、ありがとう!
今日は、最高の一日にしょうね?」
舞台の上では、ひとりのアイドルが唄い踊っている。
観客は、それに釘付けとなっている。
そして、そのアイドルに声援を贈っている。
僕は、その壇上の後の方で、そのアイドルを眺めている。
「かおちゃん、立派になったな」
壇上のアイドルは、僕の幼馴染・・・
ではなくて、いとこになる。
まあ、小さい頃はよく遊んでいたので、幼馴染でも間違いではないが・・・
いとこは、離れて生活していることが多いが、僕とかおちゃんは隣県に住んでいたので、
会う機会は多かった。
「私、大きくなったら、アイドルになるの」
いつも言っていた。
そして、彼女はその夢を叶えた。
「アイドルになっても、仲良しでいてね」
かおちゃんは言ってた。
でも、人とは無情。
アイドルになったかおちゃんは、もう僕には手の届かない別世界の存在。
昔に比べたら、一般人とアイドルの間の垣根は、薄くなっている。
アイドルとバスツアーなんて、当たり前のように行われている。
でも、僕とかおちゃんは、元々垣根のない身近な存在だった。
なので、逆に垣根が出来てしまった。
かおちゃんの活躍は、嬉しくもあるが、寂しくもある。
今日のチケットは、かおちゃんのご両親から、僕の両親に送られて来た。
それで、僕がここにいるわけだが・・・
僕のような、陰キャラは、ここにはいないほうがいいだろう。
「かおちゃん、いつまでも元気でね」
心の中で、そう呟き僕は会場を後にした。
今日は七夕。
天の川が奇麗だ。
彦星と織姫は、会っているだろうか?
垣根 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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