第1章 その6
「……は?」
何しろ階層の主を
その強さは
それ以外の入手方法は、特級以上の龍か悪魔を討伐。つまり、まず無理だ。
ただし──希少な分、効果は極めて絶大。
宝珠を組み込んだ武具は、属性に応じて大きな魔力と
つまり──この宝珠が本物だとするならば、ギルドを通さず、ソロ、もしくはパーティ、クランが直接送って来た、ということになる。
そんな物を平然と? しかも、さっき自分が運んできた箱の中に?
……
青年が笑い、宝珠だというそれを
「あ、信じてないね。直接、手に取ってごらんよ」
「ち、ちょっと」
私は
圧縮された恐ろしく強い炎属性。も、もしかして本物?
それにしても、本当に
宝珠の人気は
──ひとしきり
それぞれ材質が
「納得したかな?」
「……確かに本物みたいね。だけど、こんな貴重な物を送ってくるなんて、何者なのよ」
「さっきも言ったけど、昔後押しした子達が
「失敗?」
「この前、王都を久しぶりに訪ねた時、話しちゃったんだよ。『炎と水の宝珠を探しているんだ』って。今度、お返しをしておかないと」
……もう、訳が分からないわ。
こいつの話は
だけど、付き合っていたら私の中の常識が音を立てて
「さて、これを見てくれるかな?」
青年が、こちらに持ってきた三本の棒を見せてきた。……今度はなんなのよ。
一つは木製。内部に光が
やや短い二本目は、灰色。何かの骨??
そして、三本目は明らかに金属。けれど、
それぞれの
数えてみると七ヶ所。どうやら、
「どれが良いと思う? 直感で選んでおくれ」
「──木ね」
「ふむ。
そう言うと、
……待って、時空魔法を使えるのにも言いたいことは多々あるけど、目の前にあるこの杖は何? 何なわけ!?
私の目がおかしくなっていないなら、これは──。
青年がニコニコしながら、
「さ、はめ込んでごらん?」
「…………」
恐る恐る、空いている穴に炎の宝珠をはめ込む。
宝珠が合計で──六つ。残りの穴は一つ。
「うん、様になってきた」
「ね、ねぇ……こ、これ、この杖って……」
「ん? 材料があったからね。杖もほしい
「!?!!」
──人間は
目の前の杖の土台に使った材料は、私みたいな冒険者なら知らない者はいない代物だったからだ。
*
世界樹──それは大陸中央にそびえる大樹。
かつては、世界に三本あったらしいけど、現存しているのは一本だけ。
伝承によれば、三百年以上前の『
辺り一帯はハイエルフの神域になっていて、立ち入るのも難しく、
結果、素材を手に入れるのも至難で、
歴史上、世界樹の枝を使用し、実在したと認定されているのは伝説の
今、目の前にあるのはそういう代物だ。
さっきから、ずっと白昼夢でも見てるんじゃないかしら。
この短時間に、
こ、こいつ……。
「変な顔だなぁ。
「え? ち、ちょっとっ!」
青年が杖をこちらに
持った
──……ああ、本物だ。
自分の中で魔力が
今なら
それこそ──私が使えない
「一つ目の助言をしようか。レベッカは、炎だけじゃなくて雷を使った方が良いね。苦手にしているみたいだけど、君の適性は雷だよ」
思考が
青年に問う。
「…………どうして、私の属性を知ってるの?」
「ふふ、僕は育成者だから。見れば分かるのさ」
幾らあのエルミアでも、冒険者にとって
確かに私は
それを
手品の種は……私は杖を
「この杖ね」
「またまた正解。それを持つと、魔力が活性化するから
「……
目を細め殺気を
青年の顔は
カップを持ったまま、片手を軽く上げた。
「
「からかわないで! ……お
そう言い、杖を返す。
手に張り付くような感覚。まるで、杖が意思を持っているみたいだ。
話せば話す程、常識は
私が築きあげてきた『世界』の中に、こいつはあっさりと入り込んできてしまいそうだ。
……そんなの、
私の
「夕食も食べて行けばいいのに。
「……結構よ。あと、あの
「そうなのかい? エルミアは毎回、楽しそうに話してくれたから、仲良しなんだな、って思っていたんだけど。ああ、夕食後にも珈琲と甘い物も出すよ?」
! エルミアが私の話を楽しそうに??
心が温かくなり、少し顔がにやけそうになるのを
「……け、結構よ! あと、べ、別に私はエルミアと仲良くなんかないっ! ……ま、まぁ、少しは
青年は
「そうか残念。なら──代わりに二つ目の助言をしよう。魔法剣を使いたいなら今のままじゃ永久に
瞬間、
しかし──
「!?」
「危ないなぁ」
私の剣は、目に見える程強力な魔力
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