第10話
満里奈は哲夫の手紙を読んで、これは根が深くないなと思って、父に相談した。父は満里奈に聞いた。
「まだ竹内さんを愛しているのか」
「ええ愛しているわ」
「よりを戻したいのか」
「戻したいわ」
「毎日手紙が来ているがそれを見せてくれ」
父も竹内の手紙を読んで、今の彼女と別れさすのは不可能ではないと、思った。
父は、結婚相談所の井川芳子に電話をかけて、いきさつを説明した。
井川芳子は行動を開始した。
竹内哲夫に電話をした。
「結婚相談所の井川です。竹内さん、いかがですか、何か進展は有りましたか」
「いえ、お一人の方と2~3回お会いしましたが、別れました」
「何か不都合な点でも有ったのですか」
「いえ、そう言うわけでは無いのですが、事情が有りまして」
「まあ、それは残念ですね、折角ご入会頂いたのに、他の方をご紹介しましょうか」
「いえ、結構です、その必要は有りませんから」
「あら、良い方が見つかったのですか」
「まあ、そうです」
「今後の参考に、そのお話をお聞かせくださいませんか」
「相談所でご紹介頂いた方と付き合い出したときに、行きつけのスナックに行って、彼女ができたと言ったら、女の子が泣き出して『私は竹内さんのことがずっと好きだったのに』と言うんです。俺もその子が2年前から好きだったんです。なんとなく、その子と付き合いだしたんです。それで紹介所の方をふったんです」
「なるほど、そう言う事情があったら、しようがないですわね」
「その方とご結婚なさるお積もりですか」
「いや、まだ、そこまでは考えていません」
「そうですわね、それこそ中学校時代に好きだった子に10年振りに会ったみたいな感情ですわね」
「そうですね、好きだった子が、突然振り向いてくれたみたいですね」
「初恋と言うか、通過儀礼と言うか、一時的な感情ですね。一時的には燃え上がるけど、すぐに消えてしまいますね。初恋と結婚は別と言うか。初恋の相手と結婚して幸せになれるかわかりませんよね。ホッホッホッこれはまた、要らない事を口走ってしまって申し訳ございませんでした。お大事に。」
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