第3話 スキルと世界

 こんにちは、トラウです。生まれてから二か月ほどたちました。自分で動けない為に、ちょーーー暇、なんてこともなく毎日異世界満喫中。ここまでずっとスキルの検証や、通りかかった人の鑑定をしていた。

 それで分かったことの一つ目が、全知の書庫アカシックレコードがやっぱりやばいという事だ。本当に何でもわかるっぽい。この世界にないものまで出てくる。例えば銃や、飛行機などの機械の構造まで完全にわかる。あとは、スキルの使い方なども出てきた。そのうちの一つが「関連付け」というものだ。複数のスキルを同時に起動し、組み合わせて使う方法のようだ。例えば、剣術スキルと属性魔法スキルを組み合わせて使うと、魔法を纏った剣、所謂魔法剣が使えるらしい。僕は全知の書庫と鑑定を関連付けて起動してみた。すると何という事だろう。字も全部読みとれるし、言葉を意味を理解して聞き取れるようになった。まだほとんど何も知らない世界で情報源が増えるのはありがたい。それと、検証をしていてわかったのが、鑑定は全知の書庫の権能の一部に情報読み取り機能を付けたものという事だ。全知の書庫には、すべての情報がある。人のステータス情報もそうだし、今後の天気などもわかるようだ。何なら、転生前の世界の野球の試合の結果もわかる。鑑定はその取り込んだ情報に基づいて全知の書庫から情報を引き出すらしい。そんな何でも載っている全知の書庫だが、調べようとしないと出てこないという欠点があった。この世界の言葉について調べたこともあったが、発音などを聞き取りながら意味を理解するのは難しかった。そこで活躍するのが鑑定の情報読み取り機能だ。これ等を組み合わせて使うことで外部の情報から、全知の書庫の情報を引き出して言葉が理解できるようになったのだと思われる。ちなみに、まだ生後二か月なせいで舌の筋肉が発達してなかったり、歯がなかったりするので。しゃべることはできない。残念だ。ただ、生まれて数か月の赤子が喋りだしたらびっくりされてしまうだろう。結果オーライな気もする。

 分かったことの二つ目が、この世界についてだ。この世界はアルフェイムというらしく、大陸が幾つかあって成り立つ世界のようだ。その内の一つの大陸、トライム大陸のおよそ三分の一の領土を持つ大国、ガラン王国が僕の住む国。僕はフラメル家という侯爵家の長男という事もわかった。身分が想定以上に高く、驚いたものだ。侯爵といえば、普通になれる爵位の中でもトップレベルのようだ。侯爵より上である公爵は、王家の分家など、王家の血筋しかつけないらしく、同等クラスの辺境伯は国境の防衛を任されたときにもらえる爵位らしい。僕は多分この家を継ぐことになるのだろう。ただ、僕に弟が生まれたらそっちに譲ることも出来るらしい。ただ、譲ると一口に言っても、その手続きはめんどくさそうである。どうにか楽したいものだ。また、この世界には魔物と呼ばれる敵対生物もいるようだ。魔物は魔王が作り出した生物といわれ、命があるものならなんでも狙うらしい。ちなみに魔王は勇者によって打ち倒されている。勇者の仲間には大賢者も居たと言われていたりする。まあ、魔物がいるってことは、やっぱりお約束の冒険者と呼ばれるものもいるし、ダンジョンってのもある。敵を倒しまくって冒険し、時には命の危機に陥りながらも最後はお宝をゲットする。いいな、夢がある。

 三つ目が、全知の書庫には、やっぱり大賢者が魔法職では無いと書かれていた。この、「」って書き方が気になるところだ。生産職じゃないのか?もしそうなら生産職と書けばいいだろうに。大賢者の下位互換っぽい、賢者も似たようなものらしい。ただ、魔法自体は適正さえあれば使えるらしく、魔法関連のステが高い大賢者なら使いまくれるだろう。今は使えるといいなと願うばかりである。全知の書庫を使えば適正は知れると思うが、知ったら使いたくなってしまうだろう。基本的にお世話係のメイドが離れない子供のうちは自重するつもりだ。なので今は見ないことにしている。因みに大賢者は生産職の中でもトップのjobらしく、鍛えればどんなものでも作れるようだ。

 四つ目が、魔法は使えなくても魔力は操れるという事だ。前世でいうところの「気」のようなものなのだろう。感知さえしてしまえば比較的簡単に動かせた。練り上げて放出することもできるらしく、暇なときは天井にぶつけて遊んでいる。しかも、魔力を操っているとまとめて放出できる量が増えたり、魔力の総量、いわゆるMPと呼ばれるものが増えるようだ。まさに一石二鳥である。

 そんなこんなで生後二か月のステータスがこちらである。


 名前:トラウ・フォン・フラメル 年齢:0 性別:男


 job:大賢者 Lv:1 加護:創造神


 HP:16(+4)

 MP:456(+156)


 STR:7(+1)

 DEF:5(+1)

 INT:514(+14)

 RES:9(+2)

 DEX:43(+7)

 AGI:6(+1)


 スキル:全知の書庫アカシックレコード 鑑定 錬金術 錬成術 付与術 魔力回復速度増加 言語理解(new) 魔力感知(new) 魔力操作(new)


 思ったよりも成長している。スキルも3つも増えた。多分魔法関連のステータスが高いため魔力関連のスキルはゲットしやすいのだろう。言語理解は知力が原因かもしれないな。そういえばこのステータス、特化している部分はとんでもなく高いようだ。大人のLv:10の人のステータスを見てみたが、思った以上に低い。


 名前:イッパン ピーポー 年齢:15以上 性別:男女


 job:平均 Lv:10 加護:なし


 HP:150

 MP:300


 STR:100

 DEF:100

 INT:200

 RES:100

 DEX:100

 AGI:100


 スキル:5~10個


 こんなところだ。ちなみにこの世界の成人は15歳らしい。これにjob補正とレベル補正が乗るらしい。あとは、鍛えることでステータスを伸ばすこともできるようだ。前の世界では、鍛えても数値としては出てこなかったが、こちらの世界なら目に見える数値として出てくる。これならやる気が出るってもんだ。とりあえず、大賢者のjob補正は化け物級だな。

 あと、最近になって知ったことなのだが、jobは遺伝することが多いらしい。ただ、jobに縛られる必要はなく、農民や漁師でも鍛えれば剣術や、魔法も使える。ただ向いているってだけのようだ。

 あとは、jobスクロールというものを使うことによって、jobを書き換えることもできるらしい。ただ、jobスクロールはめったに出回らない上に、高いらしい。そうそう買えるものじゃないだろう。

 それと似たようなものに、スキルスクロールがある。こちらはスキルにもよるが、jobスクロールよりは安いことが多いようだ。しかし、高いものはとんでもなく高いらしい。例えば、鑑定なんかは需要は至る所にあるのに、供給が少ないため、とても高い。しかもスキルスクロールには適正があり、適正が無い場合は使えないようだ。


 まあ、それなりに楽しめているし、前の世界より圧倒的にこちらの世界のほうが楽しいのは事実だろう。



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