第7話 大事なものはなんですか?

 ――1階の居間は昔ながらの囲炉裏がある部屋。


 そこで、私――、宮内莉緒17歳とヤクザ顔負けの酷い目つきをした男性――、高槻総司、そして最後にその従者? とも思わしき櫟原さんの3人が、これからのことを相談する為に畳の上に座っていた。


 まぁ、相談と言っても相手は雇用主であり部屋を提供している身である。

 相談どころか一方的に、今後の事を命令されて終わりな気がしそう。


「――さて、もう時間もないから早めに今の状況と今後の事を話そうか。櫟原」

「はい。それでは宮内さん、まず表向きは高槻様に嫁ぐという体裁を取ることで、この神社で働いてもらう事になります。理由はお分かりですね?」

「理由?」

「お前は馬鹿なのか? 頭にはプリンしか入っていないのか?」


 理由なんて、借金があるからでしょうに……、と! 思いながらも、何も考えずに答えたら10倍くらいの罵倒がかえってくる。


「バカじゃないですから! それなりの成績をとっていますから!」

「そうか。2学期期末テストで学年順位が下から数えた方がいいレベルなのに、それなりの成績なのか」

「ちょっ! どうして、私の成績を知っているんですか!?」

「お前の家を片付けていたら机の中にあった」

「……わ、私のプライバシーは……」

「そんなものはない!」

「高槻様、もう少しオブラートに包んで頂きませんと――」

「……分かった。それよりもだ。話が先に進まないから、さっさと言うぞ」

「あい……」


 もう、私のプライベートは自分の下着まで見られた時点で、すごい疲労感から、どうでもいいや! って面持ちになっているので好きにしてくださいって感じだけど……。


「まずは、お前は借金があるから働いて返してもらう事にする。仕事の内容は、家事全般だが、出来るか?」

「家事は、お母さんが小さい頃に亡くなってからは一人でやってきましたので」


 あのお酒とかギャンブルが好きなお父さんが家事をする事なんてありえないから、自然と私がする事になっただけなんだけど……。

 あとは少ないお金で生活をやりくりする為には、家事は必須だったし。

 思わぬところで芸は身を助けるみたいな感じになって正直ちょっと複雑な心境。


「そうか。あとは境内と本殿、それと参拝者の対応をしてもらうのが基本的な業務になる」

「あのー」


 私は恐る恐ると言った感じで手を上げる。


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