6日目 コンプラァァァァ!

 まあそんな訳で、特筆する事がなくなるくらい配達に励んでいた私だが、その甲斐あって次に買おうと思っていた宇宙船を買ってフルカスタム出来るくらいにお金が貯まった。


 このゲーム、艦本体の値段もさる事ながら、カスタムにかかる費用が結構なものになる。


 小型船くらいならともかく、拡張性の高い大型船ともなれば、フルカスタムに要する費用は本体価格の数倍にもなるとかなんとか。


 今回私が購入したのはASP Explorer。

 手頃な価格と長大な移動距離、極めて高い汎用性を誇る秀作である。

 冒険者という名が示すとおりの探査業務から、良好な貨物スペースを利用した中型貨物機としての運用、本職の戦闘艦には劣るものの比較的小型の相手には充分な戦闘力を活かしての戦闘用途など、カスタマイズ次第で様々な使い方がある。


 本体価格は約660万CRで、それをカスタムした結果、用意していた1000万CRが吹き飛んだ。


 まあ別にそれは問題ない。Explorerでの運び屋業務が軌道に乗れば資金調達の効率は、貨物スペースだけを比較しても倍は向上するはずである。

 それに、EG Unionとの友好度も上がって来ており、よりハイリターンな仕事も回して貰えて来ている。


 かくして意気揚々と宇宙へ飛び出した私だが、早々に海賊に捕捉されてインターディクトを仕掛けられてしまう。


 Cobra MkⅢであれば訳もなく振り切れただろうが、買ったばかりでイマイチ操縦感覚を掴めていなかった為思うように回避機動が取れず、結果通常航行に引きずり下ろされた上で背後から滅多撃ちにされた。


 見る間に機体はダメージを負っていき、そのまま10秒と保たずに爆散。1日ぶりの爆発である。


 なんてこったい。 


 さてここで先輩CMDR諸兄は気がついた事であろう。「いくら防御面がやや心もとないExplorerと言えど10秒保たずに爆沈ってどういう事だよ」と。


 そう、前回の予告でも語ったとおり、私はは学習しない。


 要するに積載量欲しさにシールドジェネレーターを外していたのだ。


 だって128トンあれば60トン前後の依頼2つプラスアルファが一度に積めて便利なんだもん。



 さて、壊された船はタダで戻ってくるという訳ではない。

 船の値段や積んでいたモジュールの値段に応じた保険料を払えば無事に戻ってくるが、払えない場合そのまま没収扱いとなる。


 よって宇宙船を買う時は本体の購入費、カスタム費、保険料の3つをきちんと揃えて買えとよく言われている。


 しかしこの時の私は本体の購入費とカスタム代で資金をほぼ使い果たしており、なんとか保険料だけは払えたものの、残金僅か1000CR。このままでは某ジャニーズ事務所所属の農家よろしく0CRでCMDR業を営まなくてはならなくなる。


 そこで何かこのままでもできる纏まった金の入るミッションはないかと探していたら、あった。


 よくある輸送任務で、報酬は約100万CR。

 この時は輸送物品を確認していなかったが、積み込み中に、スクリーンにとある文字を認めた。


 Imperial Slave、直訳すると帝国奴隷。



 コンプラァァァァ!



 これはヤバイ。色々と騒がれている昨今これはヤバイ。


 まあしかしこんな場末のプレイ日誌に目くじら立てる人もいないので続行。


 わざわざ「帝国」の名が冠してあるあたりで察した人は居るかもしれないが、3大勢力の一角、帝国では奴隷制が導入されている。


 奴隷制と言っても、悪名高きアメリカのようなものではなく、古代ローマ帝国のような良心的な仕組みで、コツコツ働けば奴隷の身分を買い戻すこともできるらしい。


 また、なんらかの原因で破産した場合は身売りして奴隷になり借金を返済するのが慣習となっているようで、個人的にはもうちょいマイルドなマグロ漁船だと思っている。


 セーフティーネットとしての側面もあるようで、奴隷制廃止を訴える我らがアシュリン姫に対し、政敵の元老院議員が「奴隷制があるからうちの国は連邦と違って餓死者が街に転がってたりしないんだよ、姫様はそれをわかってんのか?(要約)」と反論していたりする。


 まあその政敵の婆さん自分とこの鉱山で奴隷酷使してる事で有名な人なんですけどね。



 まあそんなわけで奴隷(貨物)の輸送でお財布事情を立て直すことに成功した。


 側から見ると酷え絵面だな。いくら適法とはいえ。

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