カクヨムユーザージャパリパーク旅行記・平城山松前視点

平城山 松前

旅立ちの集い

 大学に通い始めて早3ヶ月経った。自分の性格がたたって未だに周りの人に馴染めず…


 ある朝、いつもならスルーする掲示板をたまたま確認した時にこのポスターを見かけた。ジャパリパーク?旅?フレンズと一緒に?一応学校の授業で教わったがジャパリパークにはフレンズというのがいるそう。教科書には何人かのフォトがあったが、アードウルフさんは「一度会ってみたい」と思わせるような姿だった。

 そんなこんなで応募させていただいたわけだが、まさか通るとは思わなかった。僕は期待半分不安半分で指定された船に乗った。


 ジャパリパークに無事到着した後身体検査をした。旅は明日からと言うことでロッジにて前泊させていただいたが、もうその時から「フレンズとの触れ合い」は始まっていたのかもしれない。僕はそそくさと自分の部屋に行き周りと関わることはしなかったが、他の人はロッジを管理しているフレンズやロッジに宿泊している他のフレンズといろいろ話していたのかもしれない。


 翌日、他の参加者さんと一緒にミライさんから注意事項を伝えられた。なぜか見覚えのある人が何人かいたが、全く思い出せないので多分違う人と間違えているんだろう。

 注意事項を伝え終えるとフレンズたちがやってきた。ペア目掛けて走っていくフレンズもいれば、冷静にゆっくり歩いて行くフレンズもいた。そんな中アードウルフさんはなかなか来ない。よく見るとミライさんの後ろから顔だけを出しこちらを見ながら震えているフレンズの姿が見える。ミライさんが後押しをしてくれたようで恐る恐るこちらへときた。僕も初めてのフレンズとの触れ合いで緊張しているが、アードウルフさんも緊張していることが見て取れた。


 テーブルを挟んで対面するように座っているからかなかなか口を開けない。とりあえずは名乗ろう。


「はじめまして、平城山松前ならやままさきって言います。」

「あ、は、はじめまして、アードウルフです。」


 …もう話題が尽きてしまった。一応共学校に通っていたので女性とのグループワークなどの事務的な話はできていたのだがそれ以外がからっきしでこういう時どうすればいいかわからz


「あ、あのっ!」

「はい、どうされました?」

「な、なぜこのツアーに参加したのでしょうか。」


 こんな子に話題を作らせてしまうとは申し訳ないな…っと、そういえばこれに参加した明確な理由がないな。強いて言えばアードウルフさんに会ってみたかったことか。でもこれ言うの恥ずかしいな…まいっか。


「教科書に載ってるフォトを見た時から人生で一度だけでいいからアードウルフさんに会ってみたかったからですね。」

「えっ!」


 …引かれたか?


「あ、ありがとうございます。」


 そんなことはないようで少しホッとした。


「あーあー。マイクチェック、ワンツー。

参加者の皆さーん!そろそろ出発のお時間ですので、ステージ前への集合をお願いしまーす!」


 ミライさんの放送が入った。あまり話せなかったことが少し心残りだが、旅の途中でまた話せるだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る