絶対女王。

櫻葉ゆう

プロローグ

 2016年 1月。

 入試一週間前、私は緊張していた。県内でも成績優秀なことで知られる私立高校・明応学園の入試に挑むために心が落ち着かなかった。

 そして、月日は経ちあっという間に入試本番。家族から励ましのエールをもらい、友達の秋元朱里あかりもエールをもらった。

 みんなからのエールがとても励みになったおかげか、何とか終えることができた。最初は緊張のせいか、あまり頭が働かなくなってどうなるかと思ったけど、段々と慣れてきた。


 二週間が経ち、合格発表の時。結果はネットでの発表のであり、朝から心が落ち着かなった。朝の9時の発表に備えるためになるべく早く起きた。


 そして、発表の時……。


 パソコンから学校のホームページを開いてログインページに進む。私の受験番号は、“19930519”。番号を打って進んでいく。

 最後に表示されたのは、“結果を見る”。怖くなって、目を瞑ってクリックする。


 目を開くと……。


「えっ……」


 そこに表示されていたのは、“不合格”の3文字。絶望した。

 結果を見てからの1週間は、何も考えられなかった。

 だが、親が励ましてくれたおかげで何とか立ち直ることができた。そして、気持ちを切り替えてもう一つの公立高校を受けることができた。



 そして、春。私は、森川高校に進学した。

 森川高校は、特別偏差値の高い高校ではない。かといって、すごく頭の悪い学校でもない。思うがままに楽しいと、感じることができた。クラスでも、仲のいい子ができて順風満帆な高校生活を送っていた。

 お昼は友達と机を並べて楽しく団欒。移動教室の時もみんなで。


 1年は過ぎ、私たちは2年生になった。

 2年の一学期の途中、仲良くしていた人たちが突然掌反すように変わってしまった。不思議に思った私は、放課後にみんなの様子を見てみることにした。

 すると、みんなが帰った教室の中から楽しそうな笑い声が聞こえてきた。


「ねえ、ひとつ教えてあげるよ」

「え、なに?」

「サキ、中学の頃ある子から受けた相談をみんなにばらしちゃったんだって」

「え、まじか」


 その時のことを思い出した。

 中学2年の頃、同級生の櫻井さんから恋愛相談を受けたときのことを。

 あの時確か、「秘密にしていて」と言われていたけど、無意識のうちに何か余計なことを言っちゃって大事な告白を台無しにしてしまったんだ。

 結局、謝れずに卒業したんだよな。



 次の日から、私は一人でご飯を食べた。

 すると、朱里たちの笑い声が。


「サキ、友達いないのかな? 1人とか可哀想」

「ホント。笑えるんだけど」


 私は、その場にいるのが嫌になって逃げた。逃げた場所はトイレ。1人になれるから、落ち着くことができた。

 少し落ち着いたので教室に戻った。


 席に着くと、朱里たちがやってきて


「サキさ、中学の頃に友達の秘密ばらしちゃったんだって?」

「ひどいよね」

「あんたって、いっつも余計なことまで言うんだから信用性欠けるよね」


 リーダー格の朱里が罵ってきた。


 私には、もう限界が来ていた。


「私はもう、1人でいい……」

「えっ? なに?」

「私には……、友達なんて必要ない……!」


 そう叫んで教室を飛び出した。



 私は、次の日から本当に1人になった。

 1人になって分かったことがあった。それは、だれにも気を遣わずに生きていられること。しかし逆に、毎日受けるいじめに精神が耐えられなくなってきていることに気づき、頑張って耐えて隠してきたのが、それもそろそろ限界に近づいてきていた。


 親にも、頑張って打ち明けた。


 二学期が始まっても、朱里たちからの陰湿ないじめは続いていて私は精神が崩壊する前に、“一学期から朱里たちのグループから嫌がらせをされている”と、先生に話した。

 そして、担任の対応は……。


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