⑩夕方、コンビニ
踊れなくなった。
先生も親も、めちゃくちゃ優しくなった。そして、もてなくなった。
次の日の夕方、夜を待ちきれずに交差点に向かった。人通りのある交差点。コンビニのレジ。違う人がいた。夜を待った。あのひとがくるのを信じて、ずっと待った。
夜の23時。コンビニが閉まった。
私の心も、閉まってしまったみたいになった。
次の日も、その次の日も、コンビニは23時に閉まった。
コンビニの灯りがない交差点に立って、踊ろうとした。
足が。手が。心が。出てこない。
踊れなくなっている。足に蔦が生えて、コンクリートとくっついている感じがする。
コンビニ。灯りがない。
いや。
明かりが点った。
走った。蔦がどうとか、一気に頭から吹っ飛んだ。
コンビニのなかに入った。
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