夜に融けて

春嵐

①夜、コンビニ前

無性に踊りたくなる。

人通りのない交差点。夜。外灯。コンビニの看板。

駆け出す。跳ねる。回る。ぴたっと止まって。信号が変わる瞬間に、もういちど、跳ねる。

遠くで車の走る音が聞こえる。近付いてくれば、歩道に逃げるだけ。いまの私は、交差点の真ん中。この十字路が、私にとっての世界のすべて。

たのしい。跳ねる。回る。駆ける。

オレンジの街灯も、赤と緑に切り替わる信号も、月の光さえも。すべてが私を照らしてくれる。私は、いま、ここにいる。

踊れ。踊れ。私は、いま、世界の中心にいる。

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