平凡な女子高生、紺野 天(こんの そら)は、とあることから弱みを握られた同級生の星宮 雫(ほしみや しずく)から唐突に告げられる。彼が死んだ祖父から「他人が過去の分岐点において違う選択肢を選んだ場合のIFストーリーを見る力」を受け継いだことを。そして彼の力を実際に体験した天は——
星宮くんの奇人っぷりが冴え渡っていますね! ものすごくおかしいわけじゃないのに、言動の端々に奇が匂い立つ彼の姿、絶妙です。そして奇しき星宮くんをがっちり受け切り、ごりごりツッコむ天さんの強キャラぶりも実に爽快です。このふたりだからこそのリズム感による会話劇は、間違いなく本作の大きな魅力ですね。
そして星宮くんの能力ですよ。見た人の迷いを振り切らせるきっかけとして機能していながら、同時に星宮くんの能力者故の苦悩や天さんの只人故の迷いを重ねることでドラマを深掘りもしている。この構成の巧みさは目を奪われずにいられません。
楽しさに織り込まれたこのエモさ、ぜひご一読ください!
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=高橋剛)