第一章 第十節 ~ 影との戦い ~
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こちらの勝利条件は既に決まっている。
なら、後はその条件を満たす為にどう動くかだ。
(その為には、できるだけ早く目の前のナイフ野郎を突破して、ミラと合流しなきゃならねえ。オレが無理矢理ヤツらを倒しちまってもいいが、ミラには何か考えがあるみたいだしな……
自らの役割と取るべき行動を確認すると、リオナは早速行動に移した。
「そらいくぜッ‼‼」
まずは、強引に正面突破ができないか試してみる。
影に潜るナイフ使いとの距離を詰めるべく、右へ左へと蛇行しながら駆け出した。
当然のように、相手も接近を防ぐ為に投げナイフで
「ハッ!」
投げナイフの充填の隙を突き、跳躍して一気にナイフ使いとの距離を詰める。
そのまま落下の勢いに任せて、強烈な手拳を繰り出すが、
「≪影討ち≫」
ナイフ使いはスキルで影の中に潜り、リオナの攻撃を
相手を討ち損ねた拳が民家の壁に派手な亀裂を生む。
別の影から姿を現したナイフ使いの投げナイフが飛んで来て、リオナは慌ててその場から飛び退いた。
「ふう、やっぱ影に潜って逃げられちまうか」
一息
横
距離を開けようとするリオナに、次々と投げナイフによる援護射撃が襲い来る。
(コンビネーションも抜群だな!)
斧、ナイフ、ナイフ、斧、ナイフ、ナイフ、ナイフ、斧、ナイフ……
絶え間なく繰り出される連撃に、リオナは内心で舌を巻いた。
だが、幾千幾万の戦いを制してきた無敵の〝獣王〟が、この程度の攻撃で大人しくなるはずもない。
リオナは盗賊達の猛攻を回避しながら、
「オラ、褒美だぜッ!」
散弾となって飛来する石の破片に、
影に潜り、
その間に、リオナは手斧使いの間合いから脱出し、次の攻撃の準備をした。
(影使い相手となりゃあ、やっぱこいつかな。使わないに越したことはなかったんだが、ちょいと正面突破はキツそうだからな)
ポケットの中から、とあるアイテムを取り出す。
それを握りしめ、再び盗賊達に向かって突貫する。
目標はナイフ使いの男。
しかし、その前に手斧使いが立ち塞がった。
「≪ブレイバー≫ッ‼‼」
大上段から高威力の振り下ろしを繰り出す剣スキル≪ブレイバー≫。
闘技場でコリエという剣士が使用していたが、重量系の刃物であれば、剣でなくとも使用できる。
防御ごと
無骨な刃が迫るのを常人離れした動体視力で目視しつつ、リオナは盗塁王をも
「よっ、と!」
「ッ⁉」
手斧使いが
それに気を留めることもなく、リオナは一目散にナイフ使いの下へと駆け出した。
距離を縮めるリオナに、ナイフ使いは鋭い視線で迎撃の構えを取る。
投げナイフは効かなかったので、今度は近接戦を挑むつもりなのだろう。
リオナ相手には一見悪手とも思えるが、ナイフ使いには影潜りのスキルがある。
近接戦に優れたリオナとも互角に渡り合えるはず――
そんなナイフ使いの期待を、リオナはあっさりと打ち破った。
(ここだッ!)
握りしめていたアイテムを地面に叩きつける。
パリンという何かが割れるような音が小さく響き、リオナの目の前に透明なレンズ状のシールドが現れる。
それが何であるかは、その場にいる全員が知っていた。
「……〝光の結晶〟? 一定時間魔法攻撃の威力を半減させる光の壁を作り出すアイテム……。それが何だと……」
ナイフ使いに対して、魔法攻撃減少のアイテム。
その意味がわからず、ナイフ使いは困惑したが、リオナは構わず突っ走って来る。
折角作った光の壁を放置して、だ。
彼女の狙いが気になるところだったが、向かって来る敵を迎撃しないわけにもいかない。
ナイフ使いは両手にナイフを構え、彼女の裏を
「ッ⁉」
そこで気付いた。
自らのスキル≪影討ち≫の効果が消えていることに。
その理由を探して足元を見たところで、その原因と同時に、彼女の真の狙いについても理解が及んだ。
結晶で作り出される光の壁は、透明でレンズのように湾曲した形状をしている。
その疑似的なレンズが路地裏に差す太陽の光を屈折させ、ナイフ使いの足下を照らしていた。
結果、太陽光に照らされた地面は影を失い、影潜りのスキルが使用できなくなっていたのだ。
(なんと柔軟な発想……ッ‼‼)
遂にナイフ使いとの距離を詰めたリオナがニヤリと笑う。
「影使いの弱点は、影がなきゃ無力だってトコだ」
リオナの蹴りがナイフ使いの頭蓋を打ち抜く。
軽い
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