第6話 弥月ねお様の企画に参戦!

やあ。俺は【遊び人ホスト】というジョブのしがない旅人だ。今は、とある小さな村の小さな酒場に来ている。そして、木のテーブルをともにするのは今日初めて出会った吟遊詩人。こういう一期一会は悪くない……。ふと、吟遊詩人が銀色の酒の入ったガラスのゴブレットを手の中で回しながら話しかけてきた。


何?質問?


いいよ、なんでもおいで。


質問その1。

君の出身地はどんな村だ?


A.素敵なところだったよ。数メートルの高さのオレンジの木がたくさん生えていてね。エルフと人間が共に生きている、綺麗な渓谷さ。まあ、千雨のせいで水没して、もう二度と帰れないんだけどね。千雨って知ってるかい?雨の大妖精が悪戯で、千夜雨を降らせる、ってやつ。恨んでるかって?……まさか。そのおかげで今の俺があって、君と酒を交わしてるんだ。それに、人生ってのは楽しすぎて、恨んでる暇がないね。


質問その2。

君の家族構成を教えてくれないか?


A.エルフの母さんと人間の父さん。それに、血の繋がってない妹がいてね……妹はメデューサでさ、風邪を引くと魔力が制御できなくなってね。おかゆも薬も片っ端から石に変えちゃったときは、どうしようかと思ったものさ。あああと、ペットにサラマンダーを飼ってたよ。


質問その3。

君の名前とその由来は?


A.アスール・ピニョン。アスールっていうのは『青』って意味なんだ。月の青い日に生まれたから、アスールなんだ。


質問その4。

君の容姿は?


A.そうか、この酒場は少し暗いからよく見えないか。浅黒い肌で髪はダークブラウンで癖っ毛。瞳は青で眉毛がキリッとしている。白い麻のシャツはボタンがついてなくて前が編み上げになってる。ズボンは焦茶で裾を少し折っているんだけど、折ると縞々の裏地が覗いてちょっと可愛いんだ。上には刺繍の入ったマントを羽織ってるんだけど、この刺繍は魔法の糸が使われていてね……雨よけと日よけと呪いよけの効果がついてるんだ。おかげで旅が快適だよ。グィニー熱帯林ジャングルでもバレス砂漠でも楽ちんさ。マントは青玉のピンで留めてるんだけど、このピンは故郷で採れた石を故郷の細工師の魔女に加工してもらったものなんだ。まだ剣を握りたての頃にダンジョンに忍び込んで……って話が逸れたね。


質問その5。

君の好きな食べ物、および調理法や食べ方は?


A.やっぱりステーキだな。スパイスの味が染みてて、丸ごとカリッと焼いてあるやつ!アレと一緒に呑む金ぶどうの酒が堪らないね!


そろそろ来るんじゃないか?……あ、お姉さん、その肉こっちのテーブルです。……ありがとう。

君も食べるかい?ここの骨つき肉は味付けが絶妙でね、おすすめだよ。


〜【後半戦】に続く〜

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