第15話 休暇、町に出る。

 今日は休暇だ。

 昨日のユイの変わりようにガンゼフが気をまわしてくれたのか、ビビったのかは知らないが王様に進言したようだ。

 王としてはできるだけ早く魔王を退治してほしいところだが、勇者と言っても人間なので休むことも必要だろうということだ。

 俺とユイはは町に行きたいと言ったら、お金をくれた。

 そして、護衛ということでメイドをつくてくれた。

 名前は、スレイヤ。

 金色のショートカット、身長は百八十センチメートルと高くスタイルもいい。年齢は二十五。顔立ちもいいが、目つきが悪い。吊り上がった目にくまが濃い。人殺しの目だと思った。

 なぜメイドと質問したところ、彼女は魔法が使えて近接格闘、ナイフ、剣、弓など様々な武器が使えるらしい。

 そして、料理、洗濯などの家事も完璧にこなせるスーパーメイド。

 今、俺とユイとスレイヤの三人で町を歩いている。




 町並みは、いかにも中世ヨーロッパ。

 黄色い壁でレンガ造りの町並みはきれいだ。道路は意思で舗装されており歩きやすい。

 初めての景色にわくわくする。

 城の周りをかこって町ができているわけではないので、初めて町に入る。


「すげー、RPGの中みたいだな」


「そうだね、そこらへんでクジ〇シーとたたかってそうだね」


「流し切りは完全にはいったのに...とか言ってそうだな」


「ぷっはははは」


「あははははは」


 なんか楽しい気分になってきた。

 町を歩いていく。

 通りすぎる人たちはちらちらと俺たちを見る。

 それは、俺たちが東洋人だからだろう。

 周りは、みな西洋人。肌が白い。

 俺の肌は黄色い。

 だが、差別されることはないらしい。

 勇者は黄色い肌をしていたという伝承が残っているだからだそうだ。

 かと言って、優遇されるということもないらしい。

 少し目立つだけで普通。

 それを考慮して、服装も目立たないものにしている。

 無論、スレイヤもメイド服じゃない。

 俺は、茶色い服を着ている。

 ユイは、紺色のゆったりとしたドレス?ワンピースと言った方が正しいのか?

 スレイヤも似たような格好だ


「服屋に行きたい」


 ユイは少しはしゃいでスレイヤに聞く。


「服屋?仕立て屋ということですか?」


 スレイヤはわからないようだ。


「違う。作った奴が置いてるの」


「古着屋ということでしょうか?」


 スレイヤは理解が全くできないようだ。


「新品の服って売ってないの?」


「新品はすべて仕立て屋で作ってもらうものですが」


 ユイはがっかりした表情を見せる。


「じゃあ、古着屋でいいや」


 どうやら行先は決まったようだ。

 長くなるんだろうな。

 まあ、俺は黙ってついていく。

 服になんて興味はないが。

 古着屋について店の中に入る。

 店内は狭く、服も似たようなものしかない。現代のユ〇クロが懐かしい。

 入った途端ユイは不服そうな顔を見せる。

 ちらちらっと見てすぐに出ていく。

 長くなりそうだと覚悟していたのが拍子抜けだ。

 

「申し訳ございません」


 店を出るとすぐに、スレイヤはユイに深々と頭を下げる。


「いやいや、なんでスレイヤが謝るの。私たちが来たところ基準で考えていたのが悪いの」


 ユイは戸惑いを隠せない。


「寛大なお言葉ありがとうございます」


 こういう態度は城で慣れたはずだった。

 あの時はあくまで客人としてもてなされていたという感じだ。

 だが、スレイヤは中世を誓った君主に対する態度という感じだ。


「私、行くところなくなった。ケイは行きたいところない?」


「俺は・・・・・・」


 行きたいところか。

 ブッ〇オフなんてないだろうな。

 ゲームソフトなんてないし。

 プラモもないし。


「特にない」


 

 


 

 



 

 

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