無題

華宗

“普通の幸せ”

「……この時間が、一番好き」

私の腕の中で、囁く彼女。

甘く掠れたその声に、理性は容易く蕩けてしまう。


滑らかな曲線を描く白い柔肌。

月明かりに濡れた唇は、熟れ始めた果実のように赤い。


私しか知らない、彼女の顔。

彼女にしか見せない、私の姿。


互いの体温を感じながら、目の前の幸せを噛みしめる。


私は……私たちは、幸せだ。


誰に何を言われようと、これが私の“普通の幸せ”



――私の選択は、間違っていない。

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