第7話 やわらか反撃
「それで……あなた達はバーストとはどんな関係なの? じっくり聞かせてもらおうかしら」
大剣少女は矛先を俺に向けながら、威圧的に聞いてきた。
俺はバーストが亡くなった怒りと悲しみで大剣少女に向かって口を開いていた。
「くっ……そこの大剣少女!」
「大剣少女? 私の事?」
「よくも無罪のバーストを倒してくれたな! バーストは俺を魔王に……じゃなくて! ここで慎ましく暮らしてだけなんだよ! 多分! ね? ユリィ?」
つい俺の口が滑りそうになった……だが、慎ましく暮らしていたのは事実だろう。
「はい……」
ユリィの元気のない返事。
「だから、そんなの嘘に決まっているでしょ? 元魔王の手下がそんな事……」
「嘘じゃない! ここで英雄の木彫りを彫り、この……今は燃えててわからないけど、この平屋で貧乏生活していただけなんだよ!」
俺は最近ここに来たばかりだが、おそらくそうだろう。
「だってエンヴィールが……」
「そのエンヴィールに燃やされたんだよ! バーストの家が! 味方の家を燃やすか普通?」
「……そうなの?」
大剣少女が不思議そうに顔を傾げる。
「そうだよ!」
「う~ん……はっ! 危うく魔王軍の手先の話を鵜呑みにする所だったわ! そんな事言っても騙されないんだから!」
大剣少女は一瞬悩む仕草をするが首を振って再び敵意を向けてくる。
「俺は魔王の手先じゃなくてまお……じゃない! とにかく関係ない!」
「男は信用出来ない!」
「またそれか……」
どうやら本当に俺の言う事は大剣少女には伝わらないらしい。
魔王になりたい異分子。実はあっている。あっているが、証拠不十分で異分子に認定されるのは納得いかない!
「魔族以外に剣を向けるのは私は嫌だけど、ちょっと痛めつけなきゃわからないみたいね」
大剣少女は俺を痛めつけるらしい。それに対して俺は――
「くっ……ふふっ……はっはっは!!」
笑った。大いに笑った。
「はっ? どうしたのよ?」
大剣少女は急な笑いに動揺を隠せない。
「何を言っても無駄か。いいだろう! かかってくるがいい!」
戦ってやろうじゃないか! こうなったらヤケだ! やってやる!
「キョーブさん! バーストさんを倒したあの人に勝てるとは……」
ユリィが俺を止めようとする。強敵なのは見て分かるが、もう止まらない!
「安心してくれ! あんなDカップに負ける訳がない!」
「はぁ!? なんで私の胸のサイズがわかるのよ!」
ずばり当てた事にかなり驚いた様子。
「やはりDカップ。俺の目に狂いはなかった!」
最初に会った時からわかっていた。やはり俺の胸のサイズ当ての能力は正しいらしい。
「それがどうしたのよ……やはり男はろくでもない……もういい! あなたも魔王の手下よ! ここで成敗してやる! さあ武器を取りなさい! 正々堂々勝ってやるわ」
「俺は武器は使わない主義なんでね……まさかそんな俺に剣を使って勝とうだなんて思ってないか? お前がどんな人間なのかは知らないが、そんなデカイ武器で非武装の人間をいたぶるのが趣味なのか? DカップはダサいのDなのか?」
武器は装備していないとかではなく、持ってないだけだけどな!
「胸の大きさは関係ないじゃない……まぁいいわ。何の魔力も感じないただの人間に剣を使う必要性もないわ」
大剣をドシンッ! と、地に突き立てた。
良かったぁぁ! あんなんで斬られたらひとたまりもない。バーストと同じ運命を歩む所だった。意外と真面目な人間で助かった。
「言ってけど、怪我だけですむだなんて思わないでね」
大剣少女はファイティングポーズをしながらこっちを見ている。
「くっくっくっ……お前も怪我だけで済むとは思ってないだろうな……俺はおっぱいを揉むからな!」
Dカップを揉んでやろう……決闘ならおっぱいを揉むぐらいいいだろう。
「……あなた。今の状況わかって言ってる?」
大剣少女は半ば呆れた様子で聞いてくる。
「あぁ。俺はおっぱいを揉んで勝利を掴み取る……俺はおっぱいを揉んで勝利を掴み取るっ!!」
大事な事だし語呂が良いから二回言った。
「……はっ?」
大剣少女は理解していない。俺も頭で理解していない!
「キョーブさん! 何か策はあるんですか?」
ユリィが心配そうに聞いてくる。
「ない」
「だったらどうして……」
「だってどうせ死ぬんなら、おっぱい揉んで死のうかなって……」
勝ち目なし! しかし、おっぱい揉む事見つけたり!
「キョーブさん……」
ユリィは心底がっかりしたようで、俯いた。
逃げる事も一瞬浮かんだが、バーストとの闘いで見せたあの人間離れした動きをされたらすぐに追いつかれるだろう。
「何を話しているの? こっちから行くわよ!」
大剣少女は俺に向かって駆け寄ってくる。
実際に近付かれて再認識しるが、あいつの身体能力は普通ではない。おそらく魔法か何かが掛かってブーストされている。
「おっぱい揉む……おっぱい揉む……」
集中する。ただ一点。おっぱいに集中する。
おっぱいに焦点を合わせ。身体に力を入れる。
「歯ぁ食いしばれぇぇ!」
鋭いパンチが俺の顔面目掛けて飛んでくる!
見えたっ! おっぱい!
反撃の俺の手が動く。脊髄反射よりも早く、手が勝手に動いてたように素早い。
「ぐふっ!?」
ごきっ! という骨が歪んたような音と共に、大剣少女のパンチが俺の顔面にクリティカルヒットした!
そのパンチは少女の身体からされていい攻撃ではなく、コンクリートを高速でぶつけられたような痛みが走った。しかし――
「えっ? ええっ!?」
大剣少女が下を見ると顔を赤らる。
俺の手が胸に届いたのだ。クロスカウンター。攻撃の手と反撃の手が同時だった。
秘技――肉を切らせて乳を揉む。会心の一撃だった。
「ふむ……これが異世界おっぱいかぁ……」
もみもみもみもみ――これでもかと乳を揉んだ。顔面に強烈な痛みがあるが、手から伝わるおっぱいの柔らかさとその喜びは痛みを凌駕している。
この世界の住人がブラジャーをしていたことがびっくりしたが、その奥にある胸の柔らかさを体感している。
その柔らかさは全てを包み込む聖母のような暖かさと柔らかさ。そして揉んでも揉んでも跳ね返ってくる弾力は生命の息吹を感じる。
好みのおっぱい。これぞおっぱいだ! ただケチをつけるなら、もうちょっと大きかったらよかったなぁ。
10点満点中の7点おっぱい!
「ふんっ!」
大剣少女に思い切り蹴られる。
「ぐへっ!?」
これまた想像以上の攻撃力のキックで、2メートル程度吹き飛ばされた。地面にそのまま倒れ込む。
「なにすんのよ! この変態っ!」
顔を真っ赤にしながらぷんすか怒っている。
「キョーブさん!」
ユリィが駆け寄ってくるが、それを手で制した。
自力でゆっくり立ち上がった。案外体が動いている。
「くっくっくっ……良い蹴りとおっぱい持ってんじゃないか……」
「しぶとい……」
俺の頑丈さに驚く大剣少女。俺自身も驚いている。
「だがそんな蹴りで俺は倒せない……のか?」
思わず自身の身体を見つめる。あんなに吹き飛ばされてなんで大丈夫なんだ? 凄い攻撃力だったが……当てられた瞬間は痛かったが、もう身体の痛みを感じない。
「なんで疑問形なのよ……」
大剣少女からつっこまれたが、俺自身わかってない。
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