蛇ト糸ト鋏

新美

プロローグ

秋月穂隆あきづきほだか 20歳 史学地理考古しがくちりこうこ日本史学科にほんしがっか2年

主に郷土史を学ぶ一般的な大学生で愛鷹町あしたかまちと呼ばれるよりも以前から存在した妖について研究しているあまり冴えない大学生である。


妖という存在していたという書物や書籍は残っている上に妖を討伐していた破魔の巫女と呼ばれる血統がこの町に地主神社を構えており、現在は六代目まで繁栄している。

現当主 真鶴梓まなづるあずささんは現役の高校三年生でありながら、この町の地脈を管理していると言われており、取材をお願いすると快く承諾してもらえた。


『現代では妖と呼ばれる存在は確認できておりません。ですが、破魔の巫女として修行は幼少期から積んでおります。主な仕事としましては神社の管理と保護であり、先代達のような町に流れる地脈の管理などをする必要がありません。』


結論から言えば只の巫女さんであり、よくある漫画の世界の血を血で洗い流す戦闘はないとのこと。

女子高生とは思えない程しっかりとした受け答えと作法にしばしば驚かされた。


容姿も整っており同級生の女性にも負けず劣らず大人びた顔立ちに少々緊張してしまった。何よりも取材の為だけに巫女装束を身に纏い写真を何枚も撮らせてくれるサービス精神に素直に脱帽してしまった。


取材から3日後の夜たまたま同級生に誘われて飲み会の席に同席し、史学地理考古というこれまた変わった学科を専攻していたこともあり興味ありげに質問する女性陣に囲まれ戸惑いを隠せず、取り敢えず飲みながら受け答えをしているうちに悪酔いした帰り道


事は起きた‪──‬

後に命懸けの下半期になるとはこの時は考えもしなかった‪──‬

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