蟲

蟲

頭の中に蟲がいるのだ。

蟲が私の脳を喰うのだ。

私が創り上げてきたモノが蝕まれるのだ。

少しづつ喰われてゆく。

少しづつ分らなくなる。

蟲が糞をする。

糞はまた脳になるのだが、蟲が肥えるのに使った分は戻らないようだ。

そしてまた、蟲が脳を喰うのだ。

分らなくなる。

少し分る。

また分らなくなる。

蟲が喰って糞をするたびに行ったり来たりするのだ。

蟲が随分肥えたのだろう。

蟲の卵が孵ったのだろう。

一度に沢山喰うようになった。

もうじき蟲がいることも分からなくなるだろう。

脳をすべて喰ったら、

頭を喰い破り羽を広げ飛び立つのだろうか？

蟲が私になるのだろうか？

私が蟲になるのだろうか？