憂鬱の海に沈む僕がシーラカンス?過大評価だ

いありきうらか

第1話

憂鬱の海が広がる。


休日が終わり、新たな一週間が始まる。


スタートダッシュに遅れた僕はとぼとぼと歩く。


目的地までの距離は先週とほぼ変わっていない。


死へと向かう道は、果てしなく長い。


早く進むために、揚げ物と砂糖を体に流し込む。


動きにくくなった体で少しずつ進む。


気づくと海の中に沈んでいた。


潮の流れに巻き込まれる。


僕が行きたい方向とは逆方向に流される。


考えてみればずっと海の中にいた。


いつから海の中を潜っているのかわからない。


上がどちらかわからない。


不思議と呼吸はできる。


竜宮城にでも監禁してもらえないだろうか。


スキューバダイビングで僕を助けに来た人がいた。


彼はジェスチャーで浮上する方向を指した。


そうして、とんでもない速度で浮上していった。


スポーツカーとセグウェイくらいの性能差。


光が見当たらない深い深い海の底。


ここは苦しい。でも心地よい。


居心地が悪い。動きたくない。


シーラカンスのように、適応するのだろうか。


いや、深海に住むのが普通になるのは問題だ。


急上昇すると、体が破裂してしまう。


ゆっくり、ゆっくりと浮上しなければならない。


…そういえばどちらが上かわからないのであった。


潮の流れに逆らうべきではない。


しばらく身を委ねることとしよう。


しかし、それにしてもだ。



憂鬱の海に沈む僕がシーラカンス?過大評価だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

憂鬱の海に沈む僕がシーラカンス?過大評価だ いありきうらか @iarikiuraka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る