第5話実家に家賃を払う高校生は自己責任で生きる
―アムロ行きますターン
ふうー。やっぱりタバコは未成年のうちから吸うから意味がある。
ノートパソコンを開き、僕は顔認証されるようにパソコン画面に顔を向けながらタバコの煙を口から吐き出した。こういうのを今の世の中では「中二病」とか言われるんだろうね。国が禁止していることを敢えて破ることに僕は意味を感じるんだ。喫煙は誰かに迷惑をかけるわけではない。これで体を悪くするのも全て自己責任だ。まあ、部屋の壁紙が汚れるとか、実際には自分以外に迷惑をかけてる部分は正確にはある。しかし、その辺についてうちの親はかなり寛大なところがある。
自己責任。
うちの両親、金額は安いが僕から家賃を取っている。部活を辞めてから親に家賃を払う生活が始まった。とりあえずバイトから始めた。時給に不満を大いに感じた。労基に通報すれば確実に大ダメージを与えられる環境ばっかりだったな。ま、労基も所詮お役所だから弁護士通さないと「民事なんで」って動かないんだよね。
正社員とバイトをずるく使ってるとこが大手も個人店もあった。そこから頭を使って「自分で稼ぐ方法」を僕は見つけていった。ネットを使って「せどり」「転売」から始まり、そこから「個人」にも税務署が容赦なくやってくることを知り、今は小口の金貸しをやって収入を得ている。今、僕の預貯金(諸事情で「ん?『しょじじょう』?『しょじょ』と似てるな」銀行には入れていないけど)は三百万円を超えたぐらい。これを回して月五%の金利を毎月得ている。金の回収?金を貸す相手?それらを僕は知らない。ただ、信頼のおける人間に金を回し、月五%の金利を月頭に毎月受け取っている。その信頼のおける人間がどれだけ抜いているかは知らない。ただその辺は完全に任せている。僕の手元に五%入れてくれれば月二割だろうと三割だろうと好きに取っていい。部屋にある三十万円ほどの現金一括で購入したデスクトップパソコンも、大人が見れば確実に羨むほどの性能のゲーミングパソコンだ。
まあ、月三万で朝晩食事つき、洗濯もしてくれて、風呂もあり、日常品も揃えてくれるなら考え方によれば安いと感じるようになった。もちろん最初は月三万の親からの家賃請求には驚いたし、不満も当然感じた。うちの親は金持ちだと思う。なのに僕から三万円の家賃を取ることで僕は結果としてとても成長することが出来たと思っている。ま、学校ではこんな僕のもう一つの顔は隠してあるよ。おおそうじ君もしょじょさんも知らないことだね。だって言う意味がない。単なる金持ち自慢やワル自慢にしかならないでしょ?あと、アルコールだけは美味さがまったく分からない。まあ、その辺がおこちゃまなんだろうね。
まずは漫画やアニメから拾っていくか。
ネットでそれ系のまとめサイトを閲覧していく。「ドラフト」の言い出しっぺは僕なんだよなあ。でも、本当にあの瞬間にたまたま閃いただけで、別にあらかじめ考えてた訳じゃない。でもあの二人からすればそれらを含めて僕がある程度いろいろとアイデアを仕込んでいると思うよね。我ながら久々の発想だもんね。
「ゲットバッカーズ」赤屍、銀次の「創生」、「黒子のバスケ」灰崎、「うみねこのなく頃に散」フェザリーヌ・アウグストィフ・アウローラ、「バジリスク」弦之介、「邪眼は月輪に飛ぶ」ミネルヴァ、「ゴッドサイダー」パズス、「すもももももも」犬塚孝士、「とある魔術の禁書目録」アクセラレータ、「まどか☆マギカ」。へえー、チートキャラって意外とたくさんあるんだあ。まだまだ出てくるな、これ。
「うえきの法則」ロベルト・ハイドン、「涼宮ハルヒの憂鬱」涼宮ハルヒ、「めだかボックス」、「アーカードの旦那」、「新座万象シリーズ」、「永遠神剣」シリーズ、そして「ジョジョ」はやっぱりジョルノ・ジョバーナ最強説かあ。これはキリがないね。というよりも考え方が大事になってくるな、これは。「ドラえもん」に「ドラゴンボール」のスピードがあれば強いよね。「生命」の概念も昔やった「スーパーマリオ」の無限ワンナップで軽く考えちゃう時もあったなあ。レミングスで一体何人の…。
僕はいろいろなサイトを見ながら考えた。やっぱり選び放題だとキリがないな。これは。三人で選ぶとして六位指名までで十八か…。大体それぐらいがいいな。一人六つぐらいがちょうどいいだろう。あとは…、基本的には順番に行動してターン終了、三国志のゲームみたいな感じかな?確か「ファイナルファンタジー」にはアクティブタイムバトルが採用されたんだよな。Ⅳからだったよな、確か。あれはものすごい発想だったなあ。確かに素早い奴こそ行動回数も増えるのが当然なんだけど普通はそこに気付かないよね。その辺のバランスも考えないとね。おおそうじ君が「時を止めた」と無限に攻撃をしてきてもおかしくないしね。このバトルの肝はそこじゃないし。うーん。これはやっているといろいろと矛盾や判定が必要なシーンも出てくるな…。
二本目、三本目とタバコを吸い続けながら僕はパソコン画面を見つめ続けた。
まあ、基本、この組み合わせで勝てるかな?普通ならこれしかないよね。
「あら、行人。もう帰ってたの?」
「ん、んん」
僕は母親の声に咥えタバコでパソコンの画面を見つめたまま気のない返事をした。
「あ、そうそう。父さんから伝言ね。行人、先月から原付買って乗ってるじゃない?原付の駐車場代としてプラス五千円家賃払うようにだって」
自己責任。
「へいへい、了解しました」
僕は少し呆れながら咥えタバコで笑みを浮かべて母親に視線を送った。
「よろしくねえ」
笑顔でVサインを送ってくる母親。僕は夕食前のドライブに出かけた。知り合いから四万円で譲ってもらった中古の原付に乗ってゆっくり町を走る。バイクに乗っている時は考えごとをしない。その時間が最近のお気に入りなんだ。
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