第11話 雨漏り
(ピチャ)
兄のローザーは顔に水滴が落ちてきて目が覚めた。
時刻はまだ夜中の2時だった。
どこか雨漏りしているらしい。
ローザーは天井を懐中電灯で照らした。
すると、指先程の穴が数箇所空いていた。
ローザーは木の板を持ってきて、釘で打った。
そしたら、雨漏りはしなくなった。
木の板を打つ音で目が覚めたのか弟のローイがやってきた。
「兄さん、こんな夜中にどうしたの?釘で木を打つ音が聞こえてきたよ。どこか雨漏りでもしたの?」
「そうさ。急に顔に水滴が落ちてきたもんだから、びっくりしたさ。ごめんな。こんな夜中に起こしちまって。」
「ううん。大丈夫だよ。気にしないで。まだもう少し寝ようね。おやすみ。兄さん。」
「おう、おやすみ」
2人はまた眠りについた。
朝が来て、弟のローイが兄のローザーより先に目が覚めた。
「今日も天気がいいなあ。お客さんが沢山来てくれたらいいな。よし、今日も頑張るぞ!」
そんな独り言を言っていると、兄のローザーが起きてきた。
「ローイ何を独り言言ってるんだ?まあ、いいんだけどさ。」
「兄さん、おはよう。独り言は気にしないでよ。ひとりで今日も頑張るぞって気合い入れてたんだ。」
「そうか。今日も頑張らなくちゃな。お客さんたくさん呼び込まなきゃな。」
「うん。そうだね。兄さん。」
2人は店の開店準備を始めた。
今日もカレーを煮込んでいる。甘口と辛口のカレーは、なかなか評判がいいみたいだ。
今日はどんなお客さんが来るか楽しみだ。
「兄さん」
「うん?どした?」
「昨日の夜中の雨漏りずっと気になってたんだけど、なにかリスとかネズミがいるんじゃないかなって思ったんだけど、あの穴はリスとかネズミとかが開けれるような穴ではないよね。」
「そうだよな。なにであいた穴か分からないな。でも、この店もずっと前から建ってた建物らしいし、天井が劣化して穴があいたとしか考えられないよな。」
「そうだね。兄さん。きっとそうだよ。あまり深く考えなくてもいいかもね。あ、お客さんがきたよ。」
「ほんとだ。いらっしゃいませ!」
ようやく客が来た。
「こんにちは。辛口のカレーをお願いします。」
弟のローイが接客をする。
「はい。辛口ですね。少々お待ちください。兄さん!辛口ひとつ!」
「はいよ!」
すると、お客さんが話をしてくれた。
「2人で食堂をやっているんだね。大変だろう。
この町にずっといるのかい?」
「僕達は最近この町に引っ越してきました。前に住んでいた町より大きな町で食堂を開きたかったんです。」
「そうなのかい。この町はね、毎年夏に大きなお祭りがあって、色んな町からたくさんの人が来て賑わうんだよ。君たちもカレーを売ったらいいさ。楽しいよ。」
「そうなんですね。お祭り楽しみです」
「はい!辛口カレーお待ちどう!」
「ありがとう。頂くよ。」
お客さんはカレーを美味しそうに食べていた。
ローイはお客さんに今日の夜中に起きた出来事を話してみた。
「そんなことがあったのかい。大変だったね。それは、どの家でも老朽化が進めば起こりうる事だから修理をしたりリフォームをしたりすれば大丈夫さ。」
「そうなんですね。教えてくださってありがとうございます。」
ローイはお礼を言って
「良かったらこれどうぞ」
手作りのクッキーを手渡した。
「おお、手作りかい。凄いね。君が作ったのかい?」
ローイは嬉しそうに
「そうです。僕お菓子作り好きなので」
「そうかい。それにしても君達兄弟なのに全然似てないんだねえ」
ローザーはローイがお菓子を作ったことを知らずに聞いていたので、内心、あのヤツ勝手に自分だけ作りやがって、モテようとしてるな、と、勝手に思い込んでいたところだった。
ローイが答えようとした時ローザーがすかさず答えた。
「まあ、所詮兄弟なんて似てませんよ。まあ、僕達だけかな、なんちゃって」
するとお客さんが大声で笑って
「そうなのかい。それは面白い。でも、これからも兄弟仲良くするんだよ。君たちの食堂応援してるよ。頑張ってくれ。」
お客さんの言葉に2人とも感動して
「ありがとうございます!また食べに来てください!お気をつけて!」
2人は頭を下げて言った。
「ああ、また来るよ。元気でな。」
お客さんは店を出ていった。
「兄さん、お客さんいい人だったね。」
「そうだな。いい人だったな。」
「ところでローイ?クッキーはいつ作ったんだよ」
「クッキーは夜中兄さんに起こされてそのまま作ったんだ。」
「そうなのか。っていうか、俺起こしてないぞ。起きたんだろうがよ。クッキーなんて、なんで作ったんだよ。おまえ、お菓子作り好きだったけっかー?」
「いや、兄さんが木の板を釘で打つ音で起きたから、兄さんのせいだよ。まあ、その事はもういいけど。お菓子作りは元から好きだったよ。どこかでお菓子作りの腕の見せどころは無いかなって思ってたんだ。僕達食堂始めてから、お客さんはたまに来るけど、デザートとかも準備した方が、お客さん来るかなって思ってね。」
「そうだったのか。確かにカレーばかりでは飽きるもんな。ローイ、お菓子作り頼んだぞ。俺はカレーの他にも新しいメニュー考案するぜ。まかしときな。」
「うん。新しいメニューの考案まかせたよ。僕はデザートのメニュー考案するよ。2人で頑張ろうね。」
2人はメニューの事で色々と語り合い、意気投合したりして、新しいお店のメニューを考えるのだった。
果たして、いいメニューが出来るかどうか、見どころである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます