暑い夏よ!
今年の初夏は 蛾が多かった
昼間は アパートの階段の壁でレモン色の卵を温め
夜は スーパーのライトに戯れ
雨が降れば 網戸で束の間の休息を取った
今じゃ階段のあちこちで役目を終えた蛾たちが仰向けに転がっている
蛾の季節が終わると 今度はカミキリムシだ
朝は1Fのエントランスホールで待ち構えていて
夕方も同じ場所で同じからだの向きで佇んでいる
もしかして お前も役目を終えたのかと 足を近づけると
長い触角を八の字に動かして応える
気を付けて歩いてみると
エントランスホールだけじゃない
2Fにも
3Fにも
そして4Fにも1匹ずつ居る
長い触角を八の字に動かし
短いけど鋭い顎を閉じたり開いたりしている
まるで楼閣を守る守護神のようだ
その辺の土を見れば 相変わらず蟻が歩き回っている
用があるのかないのか
小さい穴から出たりまた入ったり
止まっていると掟破りになるのか
とにかく動き回っている
当然 名前を付けている暇はない
僕は 階段を降りて
その様子を見
そして 昇っているだけだ
僕が一番 暇だ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます