転生しても推し事です!

木々ノ目 つばさ

第1話 重大発表は生死に関わる

 


 私は、立花涼香たちばな すずか24歳。

 職業 フリーター。本職は推し事。


 推しの為に生きている平凡なオタク女子である。



 最近では二次元だけでは無く2.5次元にまで推しが出来てしまい、今までの倍働き倒していた。睡眠時間は平均4時間、休むことなく働き続けて身体にガタが来たのか仕事を終えて帰宅するや否やベッドに倒れ込んだ。


 あ、推しくんのフィギュア予約今日までだっけ。確か円盤の予約もそろそろ始まるし、発売イベントにも申し込まなきゃ。録り溜めたアニメも見れてないしゲームも進めなきゃ、来週から新しいイベントも始まるし……次の休みいつだっけ。


 pipipipipipipipi……


「っ!? 今何時!?」


 アラームに飛び起き時間を確認すると時刻は7:30帰宅して2時間程しか経っていなかった、アプリを起動しシフトを確認すれば今日は夜のバイトだけ。


 「なんだ、全然眠れたじゃん」


 とは言え目が覚めてしまったし、久しぶりにゆっくり湯船にでも浸かろうと思い立ち浴室へ向かう。


 久しぶりの半休、洗濯物は溜まりまくりだし全然掃除も出来ていない。やる事は沢山だ。


 大好きなRPGゲームSEVENのサントラを流しながら浴槽の掃除と洗濯物を済ませる。いつからこんな人間らしい生活をしなくなっただろう。


 長くオタク活動を続けるうちに狂ってしまった感覚は理解して貰えなくとも、幸せだと感じてしまうから仕方がない。


 推しくんの幸せが私の幸せ。

 その為には沢山のお金が必要なのだ。


 諸々の予約を済ませていたらお風呂が溜まったアラームが鳴る。


「おっふろ、おっふろ〜♪」


 着替えとバスタオルを持って浴室へ。

 そうだ、昨日上がってた推しくんのLIVE配信動画見ながらお風呂入ろう。寝落ちしちゃったから充電心許ないしモバイルバッテリーなら大丈夫かな。


 身体と髪を洗って入浴剤を入れた湯船に浸かる。


 「ふぁ〜、溶けるぅ〜」


 最適な温度、いい匂いの入浴剤、浴室に響く推しくんの楽しそうな声。幸せすぎる。


『重大発表がありまして、実は……』

「えっ、何? 結婚?? 映画デビュー?」


 重大発表、大事なお知らせ

 この言葉以上に不安と期待が入り交じる言葉は無いのでは無いだろうか。


『大人気RPG!!SEVENの舞台主演決まりました!!』

「えっ!!!」


 驚きのあまり立ち上がった私。

 少しヌメリのある入浴剤に足を滑らせた、後頭部に強烈な痛みを感じたのを最後に私の意識は途絶えた。

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