買い物

「ナギさん」


 手を出してと言われたので両手を出すと、紺色の生地に白い花柄模様がやって来た。


「あっ」

「さっき俺がガスコンロ選んでる時、見てたでしょ。お待たせしたご褒美です」

「あ、ありがと」

「ちょっと伸びてきましたからね。あ、別に邪魔臭いとか言ってるわけじゃないですよ」

「嬉しい。コーヤの手拭いと似てて、素敵って思ったから」


 頭を撫でられた。目元を隠すような動きだったので、もしかして照れていたのかもしれない。見られなくて惜しいと思った。


「最近の髪紐は変わってますね」

「シュシュっていうんよ」

「ナギさんは物知りだなぁ」


 出てきた反対側の入口付近に、お父さんが乗っていたような車が映り、反射的にコーヤの後ろに隠れた。

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