私の一日

月読雨月

私の一日

 私の一日


私の朝の仕事はお父さんを起こすことだ。足早にお父さんの部屋に向かう。そして、ドアの前に着いて、

「お父さん! 朝だよ。起きて、、お~き~て~!」

と大きな声で呼ぶ。すると、部屋の中でゴソゴソと動く音が聞こえてきた。少し待っていると、眠そうに眼をこすりながら、お父さんが、

「おはよう、皐月。今日も元気そうだな」

そう言いながら、頭をなでてくれて、その後洗面所に向かう。私はその後を追わずに、台所で朝ごはんの準備をしているお母さんのところに向かった。

「お母さん、ご飯はまだ~?」

そう聞くと、お母さんは、

「お父さんが来てからね~」

私は座って待っていると、少ししてからお父さんがしゃっきりした顔をして居間に来たので、三人でご飯を食べ始めた。


私がいつも楽しみにしている、お昼のおやつの時間がやってきた。お母さんがビスケットを持ってきて、みんなおやつの時間。

「美味しそうに食べるわねぇ」

私はすごく美味しくて、次に次にと口に入れる。お父さんとお母さんがコーヒーを飲んで、私のほうを見ている。そんなことも気づかず頬張り過ぎて、ゲホゲホとむせた。


おやつを食べた後、お母さんと散歩行くことになった。温かい木漏れ日の当たる公園の中を歩いていると、

「今日もいい天気だね~」

とお母さんが目を細めて言うので、私も、

「そうだね、お母さん。で、今日は何して遊ぶ?」

「そろそろフリスビーで遊ぼうかしら?」

とお母さんがフリスビーを出す。私も嬉しくなりながら、けど、取りに行くのも面倒だな~、それにお母さん変な方向に飛ばすからな~。でも、楽しいからいっか! そう考えていると、

「いくわよ~、それ~」

と、お母さんはフリスビーを投げた。私は思わずそれを追いかけて、うまくキャッチ。ウキウキしながら戻る。そしてお菓子を少しもらって、また投げてもらう。

「あ、皐月ちゃんだ~」

と後ろから声が聞こえて振り返ると彼女は私に体当たりして、のしかかった。そして、

「あれ、皐月ちゃん遊んでたんだー、でもフリスビー? 今の時代はボールだよ。ボールのほうが楽しいよ」

「ちょっとびっくりしたよー。文月ちゃん。どう、一緒に遊ぶ?」

と文月ちゃんが、退いてくれたので、起き上がりながら、文月ちゃんに言う。すると、文月ちゃんは、

「お母さんボールボール!」

と言って足をポンポンと叩く。

「はいはい、ボールね。……はい、どうぞ」

「わーい」

とと二人でボールで遊びだした。

「へい、へいへい、へいへいへい、パスだよ!」

「へいへい五月蠅いよ! 皐月ちゃん。はい、パス」

「やったー! ドリブルだー!」

「皐月ちゃんばっかり遊んでずるいよ~」

「なら取り返すことだね」

「もーう! なら取り返すよー!」

と言うと私の上にのしかかってきて、

「うわ、暴力反対、暴力反対だよー!」

その間、お母さん同士楽しく話していた。


公園から帰りドロドロになったのでお風呂に入れてもらい、綺麗になって居間に戻ると、

「どうだった? 楽しかったか?」

とお父さんが聞いてくる。だが、パソコンのキーボードを叩く指を止めない。

「楽しかったよ。今日は文月ちゃんとボール遊びしたんだ」

「そうかよかった」

と私の頭をポンポンと叩いた後、なでてくれて、その後、席を立った。私はそれに続き、

「お父さんも遊んで~!」

と近くにあった綱を持っていく。

「ん? まだ遊び足りないのか。ちょっと待ってくれ。今仕事が良いところなんだ」

遊んでくれないようだったので、少しイラっとして、私はしつこく、

「遊んで、遊んで!」

と言い続けた。

「あー分かった分かった。大声出すな、綱引きだな、踏ん張れよ」

やっぱりお父さんは力らが強い。私の全体重をかけても片手で引っ張られてしまう。少し悔しいな、でも楽しい!

「これぐらいでいいか?」

お父さんは手を離した。私はこけないように上手く体重移動させ何とかそのままの体制を取った。

「ありがとう! お父さん。楽しかったよ」

と言うと私はお母さんの元に向かった。

「満足したか。じゃあ自分は仕事の続きでもするか」

お母さんはもう夜ご飯の用意をしていた。その横で、少し待っていると、少しキャベツなどをもらえて、そうこうしているうちに、ご飯の時間になった。私は少し遅れて、ご飯をもらい、それをお父さんとお母さんが見ている。私は犬だからお父さんとお母さんとは同じものを食べることはできないけど、この時が一番幸せだ。皆が相手してくれるのがとても嬉しい。だから、人間のお父さん、お母さんにとても感謝している。だから寝るときにいつも願う。私を人間にしてくださいと……。

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