第181話
「「「「ダメだ!」」」」
やはり、4人からダメ出しをされた。そんな4人の姿を正面のユールクスは目を細めて見ている。
「確かに、良い提案だ。氷竜は問題ないが、レベル90にすら達していない他の3人は聖女の番としては些か物足りないなぁ。」
「聖女!」
シド総帥が何か叫んでいるが無視だ。物足りないと言われてしまったグレイとスーウェンとオルクスは固まってしまっている。先程も女神ナディアにレベル90如きと言われ、そこまで到達していない3人+1人が落ち込んでいたのだ。
「その提案に乗ろう。どうせ、氷竜以外は裏には行けん。」
「それはどう言うことですか?」
氷竜と言われたカイルがユールクスに尋ねる。
「裏はレベル100に達していないと無理だ。まぁ例外はいるが、それもこの国で英雄と言われた者達が水龍を連れて攻略したぐらいだ。」
変革者の影響を受けた英雄ならレベル100を超えていなくても攻略できるが、それは例外だと、レベル100を超えていないお前たちでは無理だと言っているのだ。
「そう言えば、先程名前が出ていたヨーコは順調に育っているか?」
「だから、育てていません。」
「そのダンジョンマスターを我のようにしようとしているのだろ?」
「彼女はこだわりが強すぎて貴方のようにはなりませんよ。」
「ははは。こだわりが強くなければダンジョンマスターなんてやってられない。よいよい。ラースと魔導王をダンジョンに住まわせているんだ。直ぐに成長する。たまに来て、話を聞かせてくれればいい。」
そう言って、ユールクスは床に消えて行った。
最初の頃は良かったのだが、今現在、陽子のダンジョンは余り人気がないにも関わらず陽子が凝りに凝ったギミックが組まれたダンジョンにすることが出来たのは、レベル100を超えているシェリーとレベル200を超えているオリバーを屋敷というダンジョンの中に住まわせているからに他ならない。
ダンジョンの質が上がるということは、陽子のダンジョンマスターとしての格が上がると言うことだ。
そして、ユールクスが消えていった床を見ながら、シェリーは満足した表情をする。裏ダンジョンで経験値が倍入るとなると、いくつかレベルアップができそうだ。最近何かとツガイと言うものに付きまとわれ、レベルアップをすることができなかったのだ。
「シド総帥閣下。ここのダンジョンの扉を開けてもらえませんか?」
「あ?今から行くのか?ダンジョンに潜る準備はしなくていいのか?」
「1日程しか、かかりません。」
シェリーはダンジョン50階層を1日で掃除、もとい魔物を排除すると言っている。それも、最低レベル100はないと進めない裏ダンジョンでだ。
「ちょっと待ってくれ。ここにダンジョンの入り口があるのか?長いこと居るが、入口の存在なんて知らんぞ。」
オルクスが二人の会話に割り込む、ダンジョンの存在すら知らなかったオルクスが入り口の存在も知るはずもないのだが
「オルクス。お前にダンジョンの存在を教えていないのに入り口の場所を教えるはずないだろ。」
「シド総帥。なんで教えてくれなかったんだ。絶対にダンジョンなんて面白そうじゃないか。」
「だからだ。お前に教えると入り浸ってダンジョンから出てこなくなるから、教えなかったに決まっているだろが!」
「過去のことはどうでもいいので、早く扉を開けてくれません?」
シェリーは二人の言い合いをぶった切る。さっさと言われたことを済ませたいのだろう。しかし、シェリーの言葉にグレイが待ったをかける。
「ちょっと待ってくれ、シェリー。50階層を本当に一日で攻略っていうか魔物の排除ができるのか?」
「できますが?」
シェリーは当然のように言い切る。
「えーと。爺様。オルクスがその表?のダンジョンを攻略するとしたらどれぐらいかかるんだ?」
「あ?オルクスがか?攻略するだけなら3・4日ってところか、でも今回は掃除だからな。慣れた俺でも10日はかかる。」
シェリーが言った所要日数とシド総帥が言った日数があまりにも差があることにグレイは次の言葉が言い出せなくなってしまった。
確かに攻略となれば、階層から階層へ一直線に向かえばいいものだが、今回はダンジョンの掃除を依頼されたのだ。階層を隈無くとまでは言わないが、ある程度、階層内を捜索しなければならないのだ。
「10日ともなるとこのままダンジョンに向かうことはできませんね。」
スーウェンはこのままダンジョンに潜るには色々足りないと言う。そもそも今回はギラン共和国に日帰りという予定だったのだ。ダンジョンに潜る予定ではなかった。
「シェリー。シド総帥閣下は10日と言っているけど、それって表のダンジョンのことだよね。本当に裏ダンジョンを1日で終わらせるつもりなのかな?」
カイルは心配そうにシェリーに尋ねる。そんなカイルにシェリーはいつもどおり淡々と
「何か問題ですか?10日かかるのはシド総帥閣下の力量がそれだけのこと「ぐふっ!」。」
シェリーが女神ナディアとユールクスから受けた傷の上からシド総帥にトドメの一撃をくらわした。シェリーは言葉にはしなかったが『所詮レベル90如き』という意味が込められていた。
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