第114話
「あれだけ、頑張ったのに何も意味がなかったのですか。」
食事が終わって少しは復活したらしいスーウェンが頭を抱えていた。陽子の話からするとかなり強引に進んでいったようだ。
「確かに、かなりの数の魔物を倒したのに一つもレベルが上がっていないなんておかしいとは思ったんだよな。」
グレイは陽子の沈んで行った床を見つめながら、ため息を吐いている。
「カイル。あれを普通に攻略して3日は無理だろ!実際に3日を過ぎている。」
オルクスはまたしてもカイルに文句を言っている。
「俺は1日半で攻略できたからね。念の為、倍の攻略時間を言ってみたんだけど、楽しめたら面白いと思ったんだけどな。」
「ぐぅ。」
「因みに私は1日です。」
佐々木が出てきてポソリと呟く。
「グフッ。」
オルクスは二人の言葉に撃沈して、床で丸まってしまった。
「普通に攻略をすれば、どれほどの経験値が貰えるのですか?」
スーウェンがシェリーに聞いてきた。
「満点を取れば10万の経験値が入ります。」
「満点?ダンジョン攻略に点数が関係するのですか?」
「先程も言ったとおり階層のギミックを攻略すると経験値が入ると言いましたが、正確には階層の攻略の仕方、時間、ボス戦でのメンバーとの連携が10階層毎に評価され、満点が3万点評価です。そして、全階層を攻略すると1万点が加算され、総合評価で満点の10万点がそのまま経験値として入ります。」
「それは確かに攻略する価値はありますね。」
「しかし、1万行けばいいほうだと陽子さんは言っていました。ダンジョンの入り口に人の名前と数字が並んでいた一角があったでしょう?あそこで自分の評価がどれほどの順位か知ることができます。」
「そんなモノあったか?」
「さぁ?」
入り口は素通りされたようだ。
「入って右側だね。一位のシェリーに近づけないかと頑張ってみたけど、中々難しかったね。」
やはり一位はシェリーのようだ。
「だから、オルクスも頑張るといいよ。」
床で丸まって拗ねているオルクスにカイルは笑顔でダンジョン攻略を促すのであった。
翌日、朝早くから玄関の扉を叩く音が聞こえる。シェリーが目を開けると、外はまだ日が昇ったばかりなのか、部屋の中には横から陽が射している。シェリーは起きようと体を起こす・・・。
「ちっ。起きますので離してください。」
「オリバーさんが応対したようだから、大丈夫だよ。」
やはり、カイルが後ろからシェリーを抱きしめていたようだ。シェリーは息苦しさから開放される為に、胸元の黄色に黒の斑の髪を掴み引き剥がし、蹴り飛ばした。
「はぁ。起きます。どうせ、用件はアイラと言う少女の件でしょう。」
シェリーが下に降りて行くと、オリバーが階段を登ろうとしているところに鉢合わせた。オリバーの部屋は地下なので、シェリーに用があったのだろう。
「わたしに客ですか?」
「軍人というものは常識というものがないのかね。こんな早くに訪ねて来るなど、いい迷惑だ。」
昼夜逆転しているオリバーから時間の常識というものがあったのかと、疑問に思ってしまうが、やはりシェリーの客だったようだ。オリバーは用件だけ言うと地下の階段を降りていった。
応接室に向かうと、3日前に会った近衛騎士団長のレイモンドがいた。
「こんな朝早くから何のようですか。人の家を訪ねてくる時間ではないと思いますが?」
部屋に入るなり、シェリーは朝早くに来たレイモンドに対して文句を言う。
「あ。遅いと居ないと思って、早めに来たのですが」
レイモンドが以前、訪ねに来たが誰も居なかったために、今回は早めに来たようだったが些か早すぎたようだ。
「早すぎます。それで、用件とは?」
シェリーが聞いてきたことで、レイモンドが姿勢をただし、紙を取り出して読み始めた。
「本日、5の刻に第一層軍本部に来られたし」
「
レイモンドは今日の
「はぁ、今現在、教会が使い物にならなくてですね。今日の
やはり、謎の生命体の爆弾発言でエルフ達に色々問題が起こっているようだ。アイラと言う少女の件は教会も関わっていることなので、教会が機能しないために時間がかかったのだろう。
「ちっ。5刻ですか、わかりました。」
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