第5話
翌朝、昨日言われたとおり
「シェリー遅かったね」
「今、
あたりには、王都の中央にそびえ立つ教会の鐘楼から鐘の音が王都中に響き渡っている。時刻を示す鐘は
広場には朝から王都を立つ人達のためにこの時間には多くの屋台でが並んでおり、そこで朝食を買う人や王都での土産を買う人 、様々な人達が広場を行き来している。
その中で銀髪の長身の美丈夫がニコニコしながら門に歩いている横には男性の肩までしか身長がない冴えない容姿で無表情の女性が並んで歩いている様は異様として表現しがたいものだ。
今の時間に王都を立つものが多いため、少し並ぶことになったが問題なく門兵のチェックを終えることができた。
「遅れた分、今日中には麓の町まで行くことにするから休憩なしでもいいよね」
そういいながらカイルは騎獣用の召喚獣を呼び出す。
「それでいいです」
シェリーも自分の騎獣を呼び出し、跨いで空を飛び立つように指示した。
カイルの騎獣は一般的な飛狼だ。狼の姿をし背中に翼を生やした姿で、魔物のと遭遇しても火を吐くことで攻撃することができるの騎獣であるため、万人受けする種類である。ただカイルの飛狼は一般的な黒色ではなく白色だ。そして、青い炎を放つことから希少種でもある。
横で並走しているシェリーの騎獣は豹羽である。豹に翼を生やした騎獣で、この騎獣自体が希少種なんだが、シェリーは猫鳥が欲しかった。猫の頭に鳥の体をした騎獣で一般的に女性に好まれる種類になる。
なぜ猫鳥が豹羽になってしまったかというと、一緒に住んでいる人間不適合者が猫も豹も一緒ではないかとの判断で豹羽を用意してしまった。シェリーが可愛くないから嫌だと駄々を捏ねているのを目の前で言われた豹羽がへこんでしまったので、そのままシェリーの騎獣に収まったのであった。
通常騎獣が休息なしで移動できる距離は騎獣種により大幅に異なり、飛翔できる種族は平均100キロメルぐらいしか飛べないが、二人の騎獣はどちらも希少種であるため、300キロメルまで飛ぶことができる。
例えでいうと東京から箱根までが東京から名古屋まで行くことができる距離だ。
そのような騎獣で目的地まで行くので特に問題なく進むはずだったが、麓も町に着く10キロメル手前から横殴りの雨に降られ、そこから上空飛行ではなく街道を進むことになったために、目的地に着いたのは日が暮れてからだった。
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おまけ話
シェリーとカイルが通った北門の門兵は朝の出入りが激しいため朝と夕方は増員し、昼間は一人で対応している。実は朝の出門には昨日の昼にいた門兵がいたのだった。
「なあ、昨日お前が話してたのって、さっきSランクの『銀爪』の横にいた女性か?」
「ああ、そうだ」
「普通の人族に見えたけど、本当にあの『銀爪』がぶっ飛ばされたのか?」
「俺の目には見えなかったけど、お嬢ちゃんが不憫で目で追ってしまったんだが、視界がぶれたと思ったら突如としてカイルさんが消えて、お嬢ちゃんだけが立ってた。まるで虫けらを見るような目をして中に戻って行ったんだよ」
「名前を耳にしないからAランクより下のランクなんだろうけど、竜人族を相手にできる人族って誰だと思う?」
「第一師団長はどうだろうか」
「いや、猩々族は人族に入るのか?」
「じゃ、近衛騎士団長は?」
「見た目はわからんが蛇族だぞ。竜人族には敵わんだろ」
「じゃ、統括師団長閣下で」
「思いっきりウサギの耳が生えているじゃねえか」
「竜人族を殴り飛ばせる人族はいないんじゃないか」
「だよな。じゃ、人族じゃないのか」
シェリーの人族ではない説が二人の門兵の間で決定されたとき、そこに古参の門兵が割り込んできた。
「おい、お前らあの目を見てわからないのか?」
彼はシェリーの事を面白おかしく話題に上げている若い門兵二人に声をかけた。
「目でありますか?」
虫けらを見るようなあの目のことだろうかと、若い門兵二人が顔を見合わす。
「はぁ、お前らはなるべく関わるな。何かあれば師団長か副師団長に報告しろ。最近の若いもんは、あの目の事も知らないとはなぁ」
古参の門兵は若い門兵二人に忠告し、おっさん臭いセリフを吐いて去っていった。若い門兵は意味がわからないと首を傾げているのだった。
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