第二十七話
その後、俺達は一度に3匹〜4匹出てくるゴブリンをルキのアドバイスを受けながらスキルと連携を駆使し問題なく倒していく、俺達は何度かゴブリンの攻撃を受けてしまったのだが、プロテクションの効果は凄まじく“ちょっと小突かれた”程度の痛さまで軽減してくれていた。
そして今はダンジョンの入り口、一番最初に入ってきたドアがあるところで休憩している。
「このプロテクションてスキル、かなり敵の攻撃を軽減してくれるんだな」
「びっくりだよね、前にゴブリンの攻撃を受けた時より全然痛くなかったよ!」
「そうじゃろの、プロテクションはかなり高位のスキルじゃし、その位効いてくれないと困るの」
「そうだったのか!? 因みに俺のチェインはどうなんだ?」
俺は気になって、楓の作ったおにぎりを食べているルキに聞いてみる。
「チェインは……まあ、珍しいスキルではあるの」
「なんかパッとしないなぁ」
俺は少しがっかりする。
「てかレベルが上がったらMPも全快になるのは助かったね」
そう、MPを使いながら戦って気付いた事だが、レベルが上がるとMPがたとえ0でも最大値まで回復する事を俺達は知った。ルキに何でかと尋ねると「そういえばそうじゃったの、昔のこと過ぎて忘れておったわ。そういうもんなんじゃろ」と興味なく答えられた。
そういうもんなんだろな。
「そうだな、結構レベルも〈天啓力〉も上がったおかげでステータスもMPも増えて安心して使えるようになってきたしな!」
「そうだよね、最初はいつMPが無くなるかと思ってヒヤヒヤして戦ってたけどだいぶ余裕が出てきたね!」
「おいお主ら、それもこれもみーんな儂のおかげじゃぞ! 普通ならレベルが上がる前にMPが無くなるのじゃから節約するのが当たり前なんじゃぞ! そんなにポンポンスキルなど使えんのじゃからな!」
「本当にありがとうルキちゃん!」
「ああ、感謝してるよ」
いや本当に感謝だ、こんなにも安定して戦えているのが不思議なくらいだ。
「わ、分かればいいんじゃ、分かれば」
「あれ、ルキちゃん赤くなってる?」
楓がニヤニヤしながらルキを見る。
「赤くなどなっとらんのじゃ! 年上をからかうでない! ……休んだ後はもう少し奥へ行き、新しいモンスターと戦うぞ!」
休憩を終わらせ、俺達はこれまでよりもっと奥に進んだ。
すると目の前に1匹の大きいイノシシの様なモンスターが現れた。
【ビッグボア】
鑑定を使い名前を調べるとビッグボアと出る。
楓に伝えて身構える。
ビッグボアは俺達を見るやいなや思い切り突進をして来てくるが簡単に躱し一撃を入れる、だがビッグボアにはあまり効いていないらしく、フゴフゴと暴れ出したので俺達は一旦距離を取る。
「お、おい。特殊警棒じゃ全然ダメージを与えられないぞ……」
「どうしよっか……私達
「とりあえずなんとかするしかない、俺がチェインで縛り上げるから2人でタコ殴りにしよう!」
「おっけー!」
そう言い俺はチェインを発動する。
勢い良く出た鎖はビッグボアの自由を奪う。
「いまだ!」
俺達はビッグボア1体に囲んでボコボコにする。
傍から見たら俺達めちゃくちゃ悪者みたいだろうな……。
10発程頭部を殴打すると、やっとビッグボアは倒れた。
非常にタフである。これからどう対処するか。
そう考えながら、落ちた魔石を鑑定で確認すると大きさは“小”だった。
「特殊警棒もそろそろ通用しなくなってきたな」
「そうだねー、元々護身用程度の武器だし……新しい武器はネェガさんの所で買えばいいけど、今回はどうしよっか?」
俺達が悩んでるとルキが近寄ってくる。
「本来ならば、自分の命を預ける武器にそんな玩具を使う事すら話にならんのじゃぞ、まあお主らの世界は簡単に武器は手に入らんようだから仕方のない事じゃとは思うが……今回は儂の剣を貸してやろう」
「え?」
「いや剣って……ルキは何も持ってないだろ?」
「あるぞ」
と軽く言った後、ルキの体の横に真っ黒な空間が開く。
それに手を突っ込み、刃渡り40cm程の剣を2本取り出す。
「!?」
「ちょ、ちょっと待て! ルキ、それは収納魔法ってやつか!?」
「そうじゃ、よく知っとるの。儂らが全盛期の頃の世界は子どもでも収納魔法が使えたからこんなのは普通じゃ、因みにこの剣は儂があの石室に閉じ込められている時に暇で暇でしょうがなかったから、少しずつ魔力で壁を削り出し固めて作った物じゃ」
閉じ込められている時を思い出し、青筋を立ててそう語るルキから俺達は剣を貰う。
剣は見た目よりずっしり感があって結構重かった。
「魔力で固めてあるから普通の石の剣より段違いで切れるぞ、くれぐれも自分や味方を切らんようにの」
「助かるよルキ」
「ありがとね、ルキちゃん」
ルキは「うむ!」と満足したように答える。
そのまま俺達は進みビッグボアと出会うも、全く苦戦せずに一撃でビッグボアを沈めることができた。
剣凄すぎる。
MPについては小さい魔石の魔力回復量が1個で10回復だったという事もあって、ルキが見てくれている場合はもう魔力の心配無く戦えるようになった。
俺達はどんどん奥へと進む。
途中からゴブリンとビッグボアが同時に出て来る様になり、初めは焦るも、プロテクションのサポートとチェインでビッグボアを先に叩いてからゴブリンを始末するという方法で問題なく倒していった。
「もうそろそろボスかもしれんの」
「そういえば洞窟のダンジョンではボスの部屋に通じる扉があったけど、ここはどうなんだ? 扉がポツンとある感じなのか?」
「それは違うの……おっ、見てみい丁度良くボスに通じる道があったぞ」
「「あっ!」」
そこには赤く光る魔法陣が、森の道の終わりにデカデカと描かれていた。
「あ〜、帰る時の色と違うね」
「確かに。なるほど、これがボスの場所に通じる魔法陣なのか」
「さあ、少しの休憩を取ってから万全の体制で挑むのじゃ」
ルキは「早う、よこせ」と右手を俺に突き出し“ロー○ルさわやか”を所望する。
3人分の“ロー○ルさわやか”を出して俺達はその場に座り、しばしの休憩を取った。
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