第十話

 俺達は丸岡城を楽しんだ後、俺の家に戻り作戦会議を始める。

 二人して出来るだけ良い装備を用意する為にあーでもない、こーでもないと話をする。


「まずは防具だよね、Amaz○nで調べてみたんだけど体につけるプロテクターみたいなのや防刃ベストがあるみたい!」


 楓のスマホの画面を見ると便利そうな装備がずらりと出てくる。


「すげぇ、こんなのがあるんだな……これなら防刃ベストとプロテクターを一緒に付ければ防御面は大分良くなるな!」


 俺のイメージした防具とはかけ離れたスタイリッシュさにテンションが上がる。

 

「そしたら次は武器だな、俺はこの警棒なんかいいと思うんだけど」


 俺は調べた画面を楓に見せる。


「んー、何だか心許なくない? それならステンレスの棒の先に包丁ぐるぐる巻にして槍にした方がいいんじゃない?」


 楓さん、何故そこまで物騒な事を思いつくんですか!?


「それを使えたら良いんだけど、そんなの持って歩いてたら速攻通報されて目的の塔に辿りつけなくなるんじゃないか……?」


 刃物系は心強いんだけど持ち運びに苦労するよな……。

 ゲームみたいにダンジョンで拾えたりしないかな?


「じゃあボウガンで遠くから狙うとか?」


「確かに遠距離で攻撃できる武器を使えれば便利だけど触った事の無い俺達がすぐ扱えるかって問題があるよな……ほら、値段も高いし」


 俺はボウガンをネットで検索し楓に見せる。

 

「これは簡単には手が出ないね……近くにそういうお店がればいいんだけど福井じゃ移動手段もないしねー」


 そうこうしているうちに、どうにか装備が決まった。


【武器】

特殊警棒


【防具】

上半身…防刃ベスト+ボディプロテクター

手…防刃グローブ

膝・肘…プロテクター

靴…安全靴


 とりあえずこれで決定。

 30000円程の買い物だけど命を守るって考えると全然安いんじゃないかな?

 両親の遺してくてたお金を使わせてもらったけど、無駄遣いじゃないよね……。


 楓はボディプロテクターは動きにくそうだと感じ買わなかったが、それ以外は同じ物を注文した。


 早く届かないかなぁ。


 話が一段落して2人で飲み物を飲みながら雑談してると、俺は楓に伝え忘れてた事を思い出した。


「あ、そういや鑑定を使って色々と試してみたよ」


「どんな感じだった!?」


 楓がすかさず聞いてくる。


「なんとこの鑑定、〈天啓力〉を消費せずに使用出来るみたいだ」


「え!? それってめちゃくちゃ凄くない!?」


「うん、けど初級のせいか名前までしか分からないんだよな。だから鑑定した物の使用方法やレア度が現状全く分からないんだ。」


たくさん使用すれば初級からレベルアップするかも…という淡い期待はしてるが右も左も分からない現状では何とも言えない。


「うーん、なるほど。だけど名前だけでも分かるだけお得だよね!」


 確かにダンジョンに出てくるモンスターの名前やドロップするアイテムの名前を知れるだけで十分な価値はあると俺も思う。


「私も新しい〈天啓〉手に入らないかなぁ〜……」


 楓は寂しそうに呟く。


「次もまたあのビー玉が出るかは分からないけど、出たら楓が触って試してみればいいさ」


 俺がそう言うと楓は嬉しそうに頷く。


「と言うわけで今ここで新しい鍵を作ろうと思います!」


 俺が高らかに宣言する。

 楓の「おお〜っ!」という声と共にぱちぱちと拍手が起こる。


 久しぶりにキーメイカーを使うけど、ちゃんと使えるかな?

 そう思いながら俺は〈天啓紙〉を取り出しキーメイカーの欄を触る、すると……。


『キーメイカーのスキルを起動しますか? YES・NO』


 よし、ちゃんと起動出来る。

 俺はほんの少しだけホッとした。


「キーメイカーを起動するところまで出来たよ。前回は様子見で〈天啓力〉の消費量を1にしたけど、今回はどうしようか?」


「うーん、消費量が多い程モンスターが強くなるのかな? それだといきなりたくさんの〈天啓力〉を使ったらちょっと怖いよね。」


「そうなんだよな、ただ良いアイテムも手に入れれるかもしれないし悩みどころだ。」


「そうだね〜、じゃあとりあえず5……と言いたいところだけど3にしない? ちょっと怖いし。」


「よし、それ採用!」


 俺はキーメイカーを起動する。



『〈天啓力〉を消費して鍵を作製します、消費する量を決めてください。』


(3でよろ!)



『〈天啓力〉を3消費し、鍵を作製。…………小さな道具屋の鍵(∞)を作製しました。』



(…? 道具屋? ∞?)




 俺は、小さな道具屋の鍵を手に入れた。

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