開店前夜編
第1話 スキル取得
「グオオオオオ!ワ、我が倒されるだと!?」
目の前に立つ巨大な化け物が、苦悶の表情を浮かべる
オレの名前はシュウ
たった今魔王と言われる化け物に渾身の一撃を食らわした所だ。
「終わりだな。魔王!」
「グ・・・我が負ける事な、など・・・グバァ!」
長かった旅がようやく終わる・・・この世界に転移して三年かぁ・・・。
三年前の日本では超絶ブラックなIT企業に勤務していた。
なかなか規模の大きいプロジェクトのインフラ整備を担当していたんだけど、担当はオレ一人で24時間365日ホットスクランブルでの対応だ。
さらに毎日毎日残業でストレスマックスの日々だった。
ストレスを解放する方法は手っ取り早く酒を飲む事!
その日は仕事終わりに、いつもの様に行きつけの居酒屋に向かった。
この居酒屋は五人程しか入れない小さな店で、大抵は貸切状態で、いても気の合う常連しか飲みに来ない所だ。
「よう!シュウちゃん!先にやってるよ〜」
頬を赤く染めた男が、話しかけてきた。
「神様!久しぶりだね!元気だった?」
彼は神様。お店の常連さんで飲み友だ。
長髪長ひげ総白髪の風貌がまるで神様だったから、オレが命名したんだ。
彼は嫌がったので変わりに「仙人」を提案したら、神様で良いとの事。
「仕事で出張していてね。今日戻ってきたんだ!シュウちゃんは相変わらずかい?」
「そうだね・・・毎日毎日残業で気が狂いそうだよ。」
「大変だねえ。今日は全て忘れて飲もう!」
久しぶりの再会もあって、神様としこたま飲んで、お店を数件回った後に神様に介抱されながら自宅に戻って意識を失った。
目が覚めると、そこは森の中で目と鼻の先にはゴブリンさん。
その後はお決まりのテンプレ通り。
ステータスの高さから冒険者ギルドで活躍し、あっと言う間に最高のSランクに到達した。
そこでこの世界の王様に目をつけられて、トントン拍子に勇者として祭り上げられてしまい、魔王を退治する事になってしまったんだ・・・
やっと終わる。
本当は勇者になんてなりたくなくて、ひっそりとスローライフを楽しみたかったんだ!
「勇者よ・・・我は何度でも蘇る・・・この世に邪悪な心が存在する限り」
お決まりのフレーズいただきました!
魔王の身体がジェンガが崩れるかのように、1部位1部位崩れていく。
最後の一欠片が崩れた瞬間、全ての欠片は光に包まれ、その光が天に昇り消えていった。
終わった・・・
やりきった達成感でオレはしばらく呆然と立ち尽くしていた。
-ピコン
電子音が鳴り響き、面前に文字が出現した。
-レベルが上昇しました
-魔王撃破報酬 ユニークスキルを会得しました
-魔王撃破報酬 ユニークスキルを会得しました
-アイテム 魔王の王冠を手に入れました
さすが魔王だスキルを二つも獲得出来た。
しかもユニークスキル!
この世界では敵を倒すと稀にスキルを獲得する事が出来、中でもユニークスキルはこの世界でたった一人しか会得出来ない超絶レアなのだ。
『メニュー』
心の中で念じると、目の前にホログラム様な物が出現した。
スキルの項目をタッチすると会得済みのスキルリストが表示された。
「まず最初のユニークスキルはと・・・」
超回復
おお。これは良さそう!体力を回復するヒールの上位スキル的なものだろうか?
早速説明を・・・
-超回復
自身の身体に受けた損傷を瞬時に回復する
自身にかかっている病気を瞬時に治癒する
スキルセットで永続的使用
・・・はい。これチートですね。
スキルセットしている間は実質不死です
もし細胞も回復してくれるなら、老化も防いでくれますね。
震える手で早速スキルをセットしてみると、先程までの戦闘の傷がみるみると消えてしまった。
「すごい・・・疲れもなくなっている」
恐ろしいスキルを手に入れてしまった。
これでこの後のスローライフは安心安全に過ごせるな。
これだけでも大満足なのだが、嬉しい事にユニークスキルはもう一つある。
再度メニューを開き、スキルリストをスクロールしていくと、最下部に新しいスキルが表示されていた。
-異世界転移
「異世界・・・異世界転移!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます