異世界コーディネーター〜貴方の理想の世界探します〜

タカミキュウタ

プロローグ

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平日の昼下がり

いつもの喫茶店でお気に入りのコーヒーを嗜みながら小説を片手にスローな時間を楽しんでいる所だ。

こんな時間から喫茶店に入り浸っているからって決して無職ではない。

自営業。そして誰にも真似できないユニークな仕事をしている。


異世界コーディネーター


簡単に言えば、お客様の理想の異世界を紹介する仕事

俺TUEEEなチート人生を体験したい人、スローライフを楽しみたい人

中には魔王になって世界を征服したい人など様々。

そのお客様に適している異世界をオレが探し出して紹介する仕事だ


さて、、、今日も新しいお客さんが来たみたいだ。


「すみません・・・DMで連絡した者です」


「リサさんですか?初めまして。コーディネーターのシュウです。お待ちしておりました」


「突然押しかけてしまい申し訳ございません。リサです。友達から噂を聞いて・・・」


リサさんは複雑な表情でオレに問いかけてきた


「あの・・・。異世界へ転移できると言うのは本当ですか?」


「もちろんです。貴方の理想の世界へ転移する事が出来ますよ。色々と審査が必要になります」


「その審査と言うのはどういったものなのですか?」


「実はもう審査は終わっています。リサさんは問題なく転移できます」


「そう・・・ですか・・・でも・・・本当に異世界なんていけるのでしょうか?」


そりゃそうだ。異世界転移など小説の世界だ。誰だって信じられない。

だけど信じたい気持ちと疑う気持ちの半々のその表情が数時間後に満面の笑顔になるのを見るのがこの仕事のやりがいでもある。


「みなさん最初は信じてくれませんが、すぐにわかりますよ!早速で申し訳ないのですが、リサさんは短期間の滞在と長期間の滞在どちらをご希望ですか?」


「・・・短期間と長期間ではどう違うのですか?」


「短期間につきましては、海外旅行の様な物とお考え下さい。理想の異世界に数日滞在して、レジャーやバトルなど、異世界ならではの体験が可能です。短期間の場合はツアーパッケージされていて添乗員が同行しますので、安全に異世界をお楽しみいただけますよ」


「長期間はその世界へ移住をして、現地住民として自給自足での生活を行っていただけます。こちらは基本的に干渉は致しませんので、転移してすぐにフリーでの行動が可能です。死ぬまで生活する事も出来ますよ」


リサさんは下を向き長考に入った。


「リサさん。もし良ければ僕の事務所に移動して理想の世界を詳しく教えてくれませんか?」


そう言って変な所に連れ込むとか・・・とでも考えていそうだ。

女性の大半はもの凄く警戒する為、この時点で破談になる場合も多々ある。

リサさんは長考を終えて意を決したように答えた


「よろしくお願いします。」


オレはやさしい笑みを浮かべうなずいた後、立ち上がりカウンターの隅でコップを拭いている喫茶店のマスターに声をかけた。


「マスターすいませんが・・・」


「あいよ!お嬢さん楽しんで来てくださいね。」


「は、はい・・・」


リサさんに一言声をかけるとマスターは入口に向かい、営業中の札を反転させ準備中に変えた後、シャッターを閉めオレに目配せをして頷いた。


「え!何をしているんですか!?」


リサさんは困惑した表情をしている。

この後オレとマスターに襲われるとでも思ってるのだろうか。


「リサさん落ち着いてください。何もしませんから・・・」


「いやー!来ない・・・」


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「でー!!!・・・え!?」


叫ぶと同時に彼女の視界が変化した。

今の今まで喫茶店にいたのに、外にいるのだ。

それも見た事のない町。


オレンジ色に統一された屋根と白基調の建物、その先に広がる景色は、まるで中世のヨーロッパだ。


「ここはいったい・・・」


「ハイランドと言う町です。ここに僕の事務所があるんです。目の前にある建物がそうですよ」


呆然としている彼女に苦笑いをしながら


「初めての転移はどうでした?本当は落ち着いた状態で移動したかったんですけどね」


「ハイランド・・・本当に転移したんだ・・・信じられない!」


なんとまあ切り替えの早い事!さっきまでの不安いっぱいの顔が嘘のように目がキラキラしてるよ。


「信じてもらえたみたいでよかったです。では中に入って理想の世界を聞かせてください!」


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これがオレのいつもの一日。安定して仕事も回ってるし、理想の人生を送れている。ここに来るまで色々あったなあ・・・


それはユニークスキル「異世界転移」を手に入れた事からはじまったんだ・・・


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