第14話 ケーキプログラミング
「ふー、おいしかった。お腹いっぱい」
オムライスを食べ終えたみんくは、お腹をさすり、満足げな顔だ。
「デザートがほしい」
みんくは、食後のデザートを求める。
「まだ食べるんですか……?」
「デザートってあるの?」
「ないです」
「えー」
アノミーのつれない返事に、不満げなみんく。
「じゃあ、デザートをプログラミングで作っちゃおう。
ケーキがいいな。ケーキ」
「それは、よく思いつきましたね」
「そうでしょ。
……でもどうやって作るんだろう?
ドアや窓はタッチすると、
プログラミング画面が出てくるんだけど……。
いま、ケーキないよね。タッチできない」
「無いものは、新しく作るしかないですね」
「どうやるの?」
「そのテーブルをタッチしてください」
「うん」
みんくは、テーブルをタッチした。
空中に、画面があらわれる。
その画面には、テーブルのプログラムしかなかった。
「テーブルのプログラムしかないよ?」
「そうです。
ここに、『テーブルの上のケーキ』というプログラムを追加します」
「ほほー、なるほど!」
「それでは、作ってみましょう」
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■テーブル プログラム
テーブルとは
→物を乗せることができる。
→家具の一種。
「テーブルプログラム」を、「まどかみんくの家の1階食卓用のテーブル」に適用する。
■まどかみんくの家の1階食卓用のテーブル
色:茶色
大きさ:(一般的な家庭用テーブルの大きさ)
重さ:(一般的な家庭用テーブルの重さ)
位置:リビングの真ん中
素材:木材
「まどかみんくの家の1階食卓用のテーブル」を、以降「テーブルA」と呼称する。
「テーブルA」に「乗っている」ものとは
→ ケーキ
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みんくは、こんな感じのプログラムを入力し、実行した。
だが、画面には「エラー」と表示されて、
テーブルの上には何も出てこなかった。
「エラー!? なんでなの」
「エラーメッセージを見てください。
ヒントが出ていますよ」
「えらーめっせーじ?」
「画面のはじっこに表示されています」
みんくは、画面のはじっこをじっと見た。
細かい文字で「『ケーキ』を定義してください」というメッセージが出ていた。
「『ケーキ』を定義してください、って書いてあるよ。
定義ってなに?」
「〇〇とは、の部分です。
『テーブルとは』
『テーブルAに乗っているものとは』
の部分ですね。
どんなケーキなのか、プログラムに書かないとダメです。
ケーキにもいろいろ種類がありますよね」
「えー そういうのも書かなきゃだめ?」
「はい。
この世界では、プログラムを書いてしっかり説明しないと、
いろいろなものが作れません、
ケーキにもいろいろ種類があるので、
ショートケーキでも、チョコレートケーキでも、
モンブランでも、なんでもいいので、書いてみてください」
「うーん……」
みんくは、しばらく悩んだあと、『ケーキとは』のプログラムを書き始めた。
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■テーブル プログラム
テーブルとは
(長いので省略)
「まどかみんくの家の1階食卓用のテーブル」を、以降「テーブルA」と呼称する。
「テーブルA」に「乗っている」ものとは
→ ショートケーキ
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このプログラムを実行したところ、
テーブルの上に、本当にショートケーキがあらわれた。1個だけ。
「あれ? 1個だけしか出ない」
「特にケーキの数を指定しない場合は、
1個しか出てきません」
「アノミーちゃんも食べる?」
「私はいりません」
「おいしいと思うよ」
「私は人間ではないので……」
「そうなの?」
「そうです。人間ではないので、
おいしいものを食べてもなんとも感じないですし
お腹も空きません」
「ふーん……変なの。
じゃあ、わたしだけで、ケーキ食べるね?」
みんくは、一人さびしく、ショートケーキを口に運ぶのだった。
甘くて、とってもおいしかった。
あと、みんくは、イチゴを一番最後に食べる派だ(どうでもいい情報)
つづく
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