武田信玄の歩み
武田伸玄
第1話 決戦、川中島
舞い上がる土煙。
歯ぎしりしながら倒れ込む武士。
喊声もどこ吹く風と戦場を見つめ、
信玄は何を思うか。
「あれは・・・!」
遠くから現れるは馬上の武士。
わしと決闘を挑む気か。
目の前に迫る武士こそは
上杉政虎に他ならぬ。
「いざ勝負せん!!我は毘沙門天の化身、上杉政虎なり!」
刀を抜き取る政虎に、床几に座ったこのわしは
ここで死ぬわけにはいかぬのだ・・・!!
とっさに振った軍配に政虎の刀がぶち当たり、
きりきりと音を立てつつ政虎は叫ぶ。
「まともに勝負をせぬか、この信玄坊主っ!!」
「ふん、この戦い方で何が悪いっ!!」
より一層刀に力を入れた政虎だが、この状態で切り裂くのは困難だ。
「えーい、これならどうだ!!」
再び刀を振りかぶった政虎だが、そこに工藤源佐が横やりに入る。
「信玄よ、覚えておれ!」
「政虎よ、次があると思うべからず。」
そこに別動隊の加勢が到着し、挟み撃ちを受けた上杉勢は多くの死傷者を出して
退却した。
(政虎よ、このわしを殺せなかったことはわしのせいではない。
天命なのじゃ・・・!)
(クッ、信玄にはやはり敵わぬか・・・!)
両者はそれぞれの思いを持ちながら、国元に帰っていくのであった。
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